(台北中央社)海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)は2日、中国漁船2隻が1日に南シナ海の東沙(プラタス)諸島・東沙島周辺の制限水域に進入し、違法に投錨したと発表した。このうち1隻は警告を受けても錨を引き上げなかったため、海巡署の巡視船は放水砲を発射した。一方、同漁船は退去時に動力を喪失したため、人道的配慮に基づき、巡視船はそばで警戒に当たり、漁船側の要請に応じて温かい食事を提供した。
海巡署の報道資料によれば、東南沙分署東沙指揮部は1日午前11時ごろ、東沙島北東の禁止水域内で正体不明の目標1隻を確認。巡視船「雲林艦」に通知し、現場に向かわせた。同午後3時ごろ、雲林艦は東沙島の東27カイリ(約50キロ)、制限水域内8カイリ(約14.8キロ)で中国籍の漁船2隻が投錨し操業を行っているのを発見。2隻に対して無線で警告した。1隻は抜錨して退去したが、もう1隻は3回にわたって警告を実施しても抜錨しなかった。
雲林艦は抜錨しなかった漁船1隻に対し、200メートル離れた場所から放水砲を上空に向けて30秒間発射した。だが、漁船は退去の動きを見せず、雲林艦は徐々に近づき、操舵室に向けて90秒間噴射した。その後、同漁船は抜錨し、退去の動きを見せた。
海巡署は放水砲の発射について、標準作業手順の規定に基づき、高圧放水装置などの殺傷性の低い武器を用いたと説明。放水砲の発射時には全行程において甲板上の乗組員に当たらないようにしたとした。
同漁船はエンジンをかけて離脱しようとする際に動力を喪失したため、雲林艦は警戒に当たるとともに小艇を出して乗組員の安全を確認。同午後8時ごろ、雲林艦は同漁船からの要求に応じ、温かい食事35人分を漁船の乗組員に小艇で提供した。
その後、雲林艦は漁船のえい航を開始。海巡署は東沙分隊所属の巡視艇「PP10032」を派遣して警戒に当たらせた。同夜11時ごろ、漁船を制限水域外までえい航すると、漁船が連絡を取った僚船の到着まで警戒を続け、2日午前6時15分、漁船を中国籍の作業船「海洋石油681号」に引き渡した。
海巡署は、近年、中国漁船による越境操業が激しさを増し、その漁獲量が数トンに及ぶこともあると指摘。台湾の水域の秩序と貴重な海洋生態を著しく侵害しているとし、中国側に対し、中国漁船が再び越境操業を行わないよう制限の実施を呼びかけた。