(東京中央社)台湾語研究の先駆者で台湾独立運動家としても活動した王育徳(おういくとく)氏(1924~85年)の生涯をたどるノンフィクションの日本語書籍「台湾からの亡命者 王育徳の矜持」の新刊発表会が27日、東京・虎ノ門の台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)台湾文化センターで開かれた。王氏の次女で同作の著者、近藤(王)明理さんは、家族の記憶や史料を通じて、王氏が日本に亡命した後、台湾語研究や民主化運動、独立運動に取り組み、台湾人元日本兵への戦後補償を求めた軌跡を振り返った。
近藤さんは、自身の母がかつて、もう誰もお父さんのことを覚えていないと嘆いたことをきっかけに、父が残した足跡を記録することを決意し、約30年をかけて本書を完成させたと説明した。
また、戒厳令下の台湾で横行した政治的弾圧「白色テロ」により逮捕の脅威にさらされた王氏は、1949年に妻と娘を残して日本に密航して偽名で生活したと紹介。親族や友人、日本の学者らの支援を受けて在留資格を取得し、東京大学で台湾語を研究したり、明治大学で教鞭を執ったりしたと話した。
王氏が日本で成し遂げた主な仕事として、台湾語の研究や表記法の探究、台湾の民主化・独立運動の推進、台湾人元日本兵への補償請求を挙げ、人生最後の10年間は元日本兵の補償問題に奔走し、国会での立法を促したと語った。
▽台湾文化センター、台湾語講座を開設へ 講師は王氏の孫、近藤綾さん
台湾文化センターの曽鈐竜(そけんりゅう)センター長は、近藤明理さんの娘、近藤綾さんを講師に招いた台湾語講座を早ければ11月にも開設すると発表した。日本で台湾語研究に尽力した王氏に続き、孫の綾さんが日本語を用いて台湾語を教えることは、この使命が祖父から次の世代へ受け継がれることを象徴していると述べた。
綾さんは、今後は台湾語を理性的かつ明確な方法で説明し、教えることのできる教師をより多く育成していきたいとの考えを示した。さらに、台湾人が尊厳を持って自身の国家を統治することや、全ての台湾人が自らの文化と言語を持ち続け、継承できることにもつなげたいとした。