(台北中央社)東部・花蓮県の馬太鞍渓上流にできたせき止め湖を巡り、台湾側の要請を受けて国土交通省が提供した水位観測ブイの引き渡し式が17日、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所で行われた。台湾の対日窓口機関、台湾日本関係協会の蘇嘉全(そかぜん)会長は、日本政府などに対し、台湾が困難に直面している中で支援の手を差し伸べてくれたことに、「台湾を代表して最高の敬意と謝意を表する」と述べた。
せき止め湖は先月下旬、台風18号の影響で水があふれ、下流地域で大規模な洪水被害が発生し19人が死亡した。今後再び水があふれる恐れがある。
交流協会台北事務所の片山和之代表(大使に相当)は今回のブイ提供について、2010年12月に日台間で結ばれた「土砂災害・砂防に関する技術交流取り決め」を背景に実現した日台防災協力の具体的成果だと説明。せき止め湖の「状況が的確に把握できることで土砂災害対策に少しでも役に立てば」と語った。
関係協会の蘇嘉全会長は、洪水発生後、南部・台南市の成功大学の研究センターの職員らが直ちに日本に問い合わせたと説明。国交省の関連技術者が現地で実地調査を行うなど、日本は多くの困難を克服した上で、迅速に水位観測ブイを台湾に輸送したと説明した。
また今後は成功大学が開発した水位観測装置と合わせて運用するとし、より良いモニタリングとデータ取得が可能になり、防災や減災に大きく寄与すると信じていると語った。ブイは早ければ19日にもヘリコプターでせき止め湖に投入される予定だとした。
(齊藤啓介)