(東京中央社)中国の王毅外交部長は8日、北京でドイツのワーデフール外相と会談し、台湾の地位について「七重の根拠」によって確定しているなどと述べ、台湾の主権が中国にあると主張した。これに対し、台北駐日経済文化代表処の李逸洋(りいつよう)代表(大使に相当)は9日、声明を発表し、「中国による台湾の主権に関するいかなる主張も、まったく正当性がない」などと反論した。
中国の外交部は9日、王部長が1943年のカイロ宣言や45年のポツダム宣言、71年に国連総会で採択された2758号決議(アルバニア決議)などを引用し、台湾独立を企てる行為は中国領土の分裂に当たり、それを支持することは中国の内政への干渉であるなどと主張したと明らかにした。
李代表は、第2次世界大戦後の51年に署名された国際法の効力を有する「サンフランシスコ平和条約」がカイロ宣言、ポツダム宣言などの政治文書に取って代わったと説明。同条約の内容は「台湾を中華人民共和国に引き渡すものではない」と強調した。
また中華人民共和国が成立したのは49年であり、12年に成立した中華民国は「主権独立国家」だと主張。主権は台湾の住民に属し、中華人民共和国とは互いに隷属しないとした上で、中華人民共和国はこれまで一日たりとも台湾を統治したことはないとし、互いに隷属しないことは「否定しようのない事実」だとした。
アルバニア決議の内容については、「中華人民共和国の国連における合法的権利の回復問題」に関する決議であり、「台湾の主権地位には言及されず、台湾の国際参加を排除するものではない」と指摘。「台湾を中華人民共和国に引き渡すものでもなく、中華人民共和国に台湾の代表権を付与するものでもない」と述べた。
米国が公表した2025年度の「国家安全保障戦略」(NSS)では「台湾海峡での一方的な現状変更は支持しない」と明確に表明されているなどとし、国際社会が中国の武力脅威に対して共同で警戒していくことをはっきりと示しているとの認識を示した。
その上で、「中華民国台湾は世界の民主主義の模範であり、民主主義指数でもアジアのトップクラスに入る高度な民主主義と自由を有する国である」とし、中華人民共和国との違いを改めて強調した。