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雲林県と台湾大、気候変動適応モデル地区の発表会を共催 張麗善県長、科学と実践の融合の重要性を強調

2025/11/13 09:06
雲林県政府と国立台湾大学は11月11日、台湾大学雲林支部農業普及教育センター「鋤禾館」で「雲林県農業気候変動適応モデル地区成果発表会」を開催しました。
雲林県政府と国立台湾大学は11月11日、台湾大学雲林支部農業普及教育センター「鋤禾館」で「雲林県農業気候変動適応モデル地区成果発表会」を開催しました。

気候変動による高温や干ばつ、ゲリラ豪雨などの現象は、台湾における農業生産の安定性に未曾有の影響を及ぼしています。雲林県政府と国立台湾大学は11月11日、同大雲林支部農業普及教育センター「鋤禾館」で「雲林県農業気候変動適応モデル地区成果発表会」を共同開催しました。分野横断的な研究成果と地域での実践に関する発表を通じて、気候変動下における農業の対応と転換の方向性について討論しました。

張麗善県長は、雲林県は台湾で最も重要な農業県であり、2024年の農林水産業総生産額は948億台湾元(約4740億円)に達し、全国1位だったと言及。内訳は農業が460億元(約2300億円)、畜産447億元(約2235億円)、水産業41億元(約205億円)で、いずれも全国上位に位置しているほか、雲林県は長年にわたって安定した食料供給を担い、国家の食料安全保障を支える重要な役割を果たしてきたと述べました。一方で、気候変動による極端な気象現象の脅威が年々深刻になっており、過去10年間の平均で異常気象による農業被害は年間数百億元に上り、食料安全保障と産業の持続的発展に大きな影響を与えていると指摘しました。

童慶斌教授は張麗善県長に、農業気候リスク評価のプロセスや作物モデル意思決定の応用、水資源の最適化管理、モデル農場の実践結果について説明しました。
童慶斌教授は張麗善県長に、農業気候リスク評価のプロセスや作物モデル意思決定の応用、水資源の最適化管理、モデル農場の実践結果について説明しました。

張県長は、今回の発表会では台湾大生物環境システム工学科の童慶斌教授と研究チームが気象データの応用やDSSATモデル、水資源管理、気候意思決定プラットフォームなどの技術を統合し、新湖合作農場での実践成果と組み合わせた「雲林県農業部門気候変動適応行動計画」の重要な成果を紹介すると説明。科学的な情報を農業従事者が管理・判断に活用できるよう転換し、極端な気象によるリスクの軽減を図るとしました。その上で、今後の気候変動に対応するため、専門分野でより多くの若者を育成し、成功事例がさらに広がることに期待を寄せました。

発表会では分野横断的な研究成果と現地の実践・経験を通じ、気候変動時代の農業応用や転換について討論しました。
発表会では分野横断的な研究成果と現地の実践・経験を通じ、気候変動時代の農業応用や転換について討論しました。

雲林県政府はこの他、「雲林県デジタル農業行動プラットフォーム」やLINEサービス「雲林農情通」を整備し、農業従事者が作物の生育状況や市場価格などの情報をリアルタイムで受け取れるよう支援しています。これにより農産物の動向をより正確に把握し、市場価格の変動による損失や予測困難な気象災害リスクを抑えることができ、農業の持続的発展の促進につながっています。

県農業処の魏勝徳処長は、従来の農業は天候に左右され、経験に頼ってきた部分があるが、県は現地の微気候観測所やデータ収集を通して経験と新しい技術を結び付け、ビッグデータ分析によって経営判断や害虫対策、収穫期の予測をより精密化し、農業のレジリエンスを強化したいと述べました。

発表会には農業部(農業省)農業試験所の姚銘輝博士、交通部中央気象署(気象庁)海象気候組の潘琦組長、国立台湾大学の許少瑜教授と劉力瑜教授ら気候・農業分野の国内専門家が参加。専門家らは、微気候への対応や水資源の活用、作物モデルの応用などのテーマで講演を行い、気象観測やデータ分析、田畑の管理まで、具体的かつ実行可能な対応戦略を提案しました。童教授は、今回の成果発表を通じて雲林県の農業気候変動適応モデル地区計画が他県市の模範となり、システマチックなアプローチで気候変動に対処するための構造的・非構造的な解決策が見いだされるよう期待していると語りました。

会場にはポスター展示エリアも設けられ、農業気候リスク評価のプロセスや作物モデルを活用した意思決定支援、水資源の最適管理、モデル農場での成果などを紹介しました。また、易図科技股份有限公司の管志偉副総経理(副社長)が「適応対策情報プラットフォーム」の操作デモを実施。新湖合作農場はスマート農業技術と適応策の実践事例を共有しました。また終盤には童教授が計画の成果を総括。雲林の農業をさらに強靱(きょうじん)で持続可能なものにするために、科学的研究を地域の実践へと反映させる方策や、部門横断的な協力体制の構築方法について説明しました。

最後に張県長は、今回の発表会は、雲林県の気候適応政策における実践や成果を示すだけでなく、産官学研の協働を通じて気候データの共有と意思決定の活用を促進し、台湾の農業が気候変動に立ち向かうための新しい発想と協力の機会を生み出すものになったと振り返りました。

発信者:雲林県政府

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