(台北中央社)外交部(外務省)は23日、中国の傅聡国連大使がグテレス国連事務総長に送った書簡の内容について、横暴で道理がなく、歴史的事実を悪意でねじ曲げているとして強く批判した。
中国の新華社通信によれば書簡は、台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁の即時撤回を訴えるもの。日本が台湾情勢に武力介入すれば「侵略行為」になり、中国は国連憲章などに基づいて自衛権を行使すると表明した。
外交部は報道資料を通じ、中国の書簡は国連憲章第2条4項にある「武力による威嚇又は武力の行使を慎まなければならない」という規定に違反していると批判。台湾海峡の平和と安定の維持は国際社会における高度な共通認識となっているとした。
また、サンフランシスコ平和条約では「台湾を中華人民共和国に譲渡する」とは書かれておらず、中華人民共和国が台湾を統治したことは一度もないため、台湾が中華人民共和国の一部であるはずがないと指摘した。
加えて、台湾では1980年代半ば以降、政治の自由化や民主化がボトムアップで進んだと言及。96年に総統の直接選挙が実現したことで、行政・立法両部門とも、台湾の人々が民主的手続きで選んだ中華民国政府による効果的な統治が確立し、対外的にも台湾を代表する唯一の合法的な政府になったとした。
さらに中華民国台湾は2000年、08年、16年の3度にわたる政権交代を経験して、民主主義制度や主体性をより強固なものにしてきたと説明。これらの歴史的事実に基づけば、中華民国台湾は主権を有する独立した国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属していないとした上で、このことは台湾海峡の客観的現状であるだけでなく、国際社会が公認する事実でもあると強調した。