台湾とベトナムの往来は緊密であるものの、一部の台湾人は未だにベトナムに対してステレオタイプ(固定観念)を抱いている。そんな中、ベトナムで暮らす多くの台湾人が台湾とベトナムの間に友好の架け橋になろうと、ベトナムの新たな一面を台湾に向けて紹介している。
ウェブサイト「クリック・ベトナム」(点点越南)を管理する張瑜倫さんもその一人だ。9月までに中央社のインタビューに応じた張さんは、ベトナム人は台湾を愛しており、台湾の人々にこの国の姿を知ってもらいたいと思っていると話した。
台湾のあちこちで、勤勉に働いたり勉強したりするベトナム人を目にする。ベトナムは近年、急速に発展しているものの、台湾人のベトナムに対する理解は過去のイメージのままで止まっていることがある。「ベトナム」と聞けば、多くの人がベトナム戦争やフォー、伝統衣装のアオザイを連想する。
張さんは、外国人労働者として来台した後に失踪して連絡を絶つベトナム人を思い浮かべる人もいるとした上で、「それ以上に多くのベトナム人が台湾で良いことをしています。一部の悪い人達を見て、全体をラベリングするべきではありません」と訴える。
このような現状から、ベトナム在住10年を超える張さんは2012年、劉俐さんと共にサイトを立ち上げ、在ベトナム台湾人としての見聞や体験をつづってきた。今年7月には書籍も出版した。
ベトナムでは華語(中国語)が、英語に次いで多く学ばれている。張さんは教育部(教育省)が派遣する華語教師としてベトナムにやって来た。10年前、2人の仲間と共にハノイで教育機関「非凡教育センター」を立ち上げた。
センターでは現地の人々に華語を教え、繁体字を広めていた。だが多くの在ベトナム台湾人もまた、ベトナム語の学習をしているため、ベトナム語のクラスを開設した。初めの学生数はわずかだったが、今では20人以上の教師を要するまでに至った。その道のりは、台湾人のコミュニティーがベトナムに根を下ろすのを見届けた。そしてセンターは真の台湾・ベトナム交流の架け橋ともなった。
ベトナムの台湾に対するイメージはとても良く、双方の関係は非常に緊密で、相当数の人が留学や仕事で台湾に足を運んでいると張さんは語る。教育レベルが高く、英語が通じる上に、欧米と比べると予算が安く済むことから、留学先として人気があるという。
さらに、ここ数年で台湾旅行に行くベトナム人が大幅に増えており、特に中産階級の人々にとって、台湾観光はSNSで人気のトピックになっている。張さんは「さまざまな階層のベトナム人が台湾を知り始め、台湾に対して異なる考えを持つようになりました」と話す。
インタビューの最後に、どの国も発展の過程はそれぞれで、異なる文化的背景があるため、同じことをしてもたどり着く先が違うのだと語った張さん。「ベトナムは急速に追い上げており、人口ボーナスの恩恵を受けてどこに行っても子どもがたくさんいます。活気に満ちた国であり、将来の発展は目前に迫っています。台湾の読者にこのような異なるベトナムの姿を見てもらいたいのです」と話した。