(苗栗中央社)日本統治時代に起きた抗日運動「南庄事件」の記念碑が中部・苗栗県南庄郷の南江水岸公園に設置され、11日に除幕式が開かれた。鍾東錦(しょうとうきん)苗栗県長は、教訓をくみ取り、エスニックグループの違いにとらわれない調和と共存の実現に期待を寄せた。
苗栗県政府などによると、南庄事件は南庄地区に入植した日本人に不満を抱いた原住民(先住民)族サイシャット族の人々らが1902(明治35)年に蜂起した一連の出来事。軍によって鎮圧されたが、その後行われた帰順式で、日本側は会場に集まった原住民らに発砲し、30人余りが死亡したとされる。2022年には犠牲者が埋葬された万善諸君之義塚と帰順式会場だった南江水岸公園が「南庄事件史跡」として登録された。
除幕式に先立ち、客家人や閩南人、サイシャット族、タイヤル族、タオカス族、日本人の関係者らが参加した和解の儀式が行われ、それぞれが異なる考えと120年以上前の歴史に対する恨みや痛みを手放すことを誓った。
県政府文化観光局は、記念碑は原住民族歴史観を再構築・強化し、歴史の傷を癒やして和解につなげるとともに、歴史の現場を再現するために設置したと説明。複数回の協議や公聴会を経て、かつて南庄で盛んだった樟脳精製工場で用いられた設備をイメージした形状に仕上げたとした。
中国語の碑文を作成した政治大学(台北市)の林修澈名誉教授は、南庄事件は台湾史の重要な出来事だとし、記念碑の設置により、苗栗が文化を重視している姿勢が改めて示されたと語った。
