(台北中央社)立法院(国会)は12日、公務員や教職員の年金に関する法律の改正案を第3読会で可決した。2018年から行われていた所得代替率の段階的引き下げが停止することになる。頼清徳(らいせいとく)総統は同日夜、フェイスブックを更新し、年金改革は来た道を戻ることはできず、元の道を歩んではならないとし、野党に対し、合法的な手続きで改めて法案を審議するよう呼びかけた。
台湾では、財政の安定化や職業による格差の解消などを目的に、蔡英文(さいえいぶん)前総統が年金改革を推進。17年に公務員や教職員の退職金優遇金利引き下げなどを盛り込んだ関連の法律が成立していた。
頼総統は年金改革について、蔡政権時代に2年余りの協議や調整を経て、1世代では破綻しない、基金の寿命を延ばす基礎が築かれたと指摘。20年の政府予算は過去22年間で初めてバランスが取れ、国防の強化や科学技術への投資、インフラ建設の推進、教育や社会福祉の充実に取り組み、近年の経済発展につながったとし、立法院が改革に反対する改正案を可決したことは、全国民に極めて重い代償を払わせることになると語った。
その上で、野党側の改正案では関連基金が3~4年早まって破綻するとの試算を公務員の人事制度を統括する考試院銓敘部が示していると言及。制度の維持には巨額の予算を捻出しなければならず、政府の大きな負担になるとともに、最終的には国民の税金で賄うことになると主張した。さらに多くの赤字を生み出すことについて、国民は受け入れられないだろうと述べた。
また野党が改正案を通過させたことに関して、国家の安全保障や社会の安定、健全な財政に大きな影響を及ぼしており、国民の平等の権利を損ねていると批判。台湾の次世代のために団結しなければならないとし、引き続き最大限努力し、あらゆる方法を検討しながら、持続可能で公平かつ正義ある年金制度の実現に取り組むと意欲を示した。