(台北中央社)訪米中の蔡英文(さいえいぶん)前総統は7日、スタンフォード大で開かれたシンポジウムで基調講演を行った。台湾には先進的な製造技術や優れたエンジニア人材、充実した電子産業のサプライチェーン(供給網)があるとし、技術や産業、安全保障の強靭性を高めるのであれば、台湾は重要な協力パートナーであるだけでなく、不可欠なパートナーでもあると強調した。
蔡氏の事務所が発表した報道資料によると、蔡氏は「共同で安全を構築 世界の安定における台湾の役割」と題して講演した。
蔡氏は、科学技術と国家の安全保障は切り離すことができず、経済の強靭(きょうじん)性もサプライチェーンや産業力、重要な科学技術を取得できるかに左右されると指摘。軍事力や科学技術、経済安全保障、民主主義の強靭性が相互に影響し合うインド太平洋地域では、いかに平和を維持するかが現在最も重要な問題の一つだとの認識を示した。
台湾の現状については、サイバー攻撃や認知戦、情報操作、経済的威圧、重要インフラへの侵害を試みる行為にさらされており、中国の軍用機や軍艦、海警局の船による台湾周辺での活動も徐々に活発になっているとし、自己防衛力を強化するとともに、自信と行動の自由を維持する必要があると説明。台湾海峡は世界の重要な貿易とエネルギーの輸送航路であり、台湾は世界の科学技術と製造ネットワークに深く組み込まれているため、一度途絶えてしまえば、その影響はインド太平洋地域だけでなく、より広い範囲に及ぶと警鐘を鳴らした。
国際報道で台湾は、依然安全保障上のリスクがあり、他国の支援を必要とする場所だと捉えられることが多いとする一方、実際には製造能力を拡大し、供給面の問題解決を支援できる数少ない民主主義国家の一つであり、安全保障面の支援を必要とするだけでの国ではないと主張。米国の人工知能(AI)システムで使われる先端チップやこれらのチップを使用するAIサーバーの大半が台湾企業によって生産されているなどとし、AIを支える設備やシステム、部品にも台湾企業が深く関わっていると紹介した。
その上で、安全保障関連の技術は先進的であるだけでなく、大量生産や迅速な調整、適時の納入ができなければならず、これこそが台湾の産業が数十年にわたって培ってきた能力だと力説。政府、企業、エンジニア、サプライヤーが共通の目標を持てば、台湾は迅速に動くことができると語った。
さらに、現在は多くの台湾企業が無人機産業に参入し、大量生産能力を備えているとし、台湾の半導体設計、造船、海運の能力も、自律システムや無人船舶の開発の基盤になり得るとの見方を示した。
また、台湾は第1列島線の中心に位置し、世界の科学技術産業における重要な一員でもあり、地理的な位置、民主主義制度、技術力、産業力が組み合わさることで、代替の難しい役割を担っていると述べた。
今後については、民主主義のパートナーは互いに最も得意とする能力を集結し、安全保障に必要な産業や技術力を共同で構築すべきだと強調した。