(台北中央社)衛生福利部(保健省)食品薬物管理署(食薬署)が日本産牛肉の輸入について、月齢による制限を撤廃する案を発表したのを受け、民間団体から反対の声が上がっている。同署の姜至剛(しょうしごう)署長は7日、情報公開の透明性と健康上のリスクの低さを強調し、理解を求めた。
台湾はBSE(牛海綿状脳症)対策で、日本産牛肉については月齢30カ月以下のみ輸入を認めている。同署は4日、月齢制限を撤廃する案を公表した。60日間の意見公募期間を経て最終的に決定される。今回の案が施行されれば、全年齢の日本産牛肉が輸入可能になる。日本では2001年9月から09年1月にかけてBSEの感染牛が確認されていた。
民間団体、中華民国消費者文教基金会は7日、日本には依然としてBSEのリスクがあると指摘。衛生福利部は輸入制限緩和の理由や背景を明らかにしていないとし、十分な説明を求めた。また先日、台湾が日本との経済連携協定(EPA)締結に向けて動いていると報じられたことに触れ、牛肉の輸入制限緩和と引き換えにEPAを結ぼうとしているのならば「消費者の健康を犠牲にして経済発展を得ようとしている疑いがある」と訴えた。
姜氏は同日、報道陣の電話取材に対し、同団体の指摘は「誤解だ」と強調。食品安全上のリスク分析の審査過程は十全で、書面審査のほか、2019年からの3年間に3回の専門家会議を開いた他、21年には日本で生産施設の現地査察も実施したと説明した上で、これらのリスク評価や現地査察の報告書は全て同署ウェブサイトで公開されているとした。また、リスク評価に基づくと、リスクにさらされる確率は1億5000万分の1だと述べた。