南部・嘉義県の景勝地、阿里山などを走る阿里山林業鉄路(林鉄)をテーマに制作された楽曲を関連の映像に合わせて演奏するイベントが10日に東京・渋谷、12日に鳥取県湯梨浜町で開かれた。各回多くの観客が集まり、阿里山の魅力が詰まった音楽と映像を楽しんだ。
楽曲は2024年、林鉄とその沿線の風景、そこに暮らす人々に焦点を当てて出版されたフォトブック「高低差2421mのやまびこ」に着想を得て、南部・嘉義を拠点に活動するオーケストラ団体「嘉頌アンサンブル」の作曲家、楊元碩さんをはじめとするメンバーが約1年かけて作曲した。映像は、鉄道の運行、沿線住民の生活、森林の生態系、人と大地とのつながりを基に作成された。イベントは25年9月に嘉義で行われたのを皮切りに、台北、南部・高雄、ドイツでも開催されている。
日本でのイベント開催は、台湾世界遺産登録応援会やNPO法人みらいの協力を得て実現。日本人の観客にも楽しんでもらえるよう、日本語の字幕や語りを追加した。
林鉄を運行する阿里山林業鉄路・文化資産管理処の王昭堡処長は10日のイベントであいさつし、日本語の語りと音楽、映像を組み合わせ、まだ阿里山を訪れたことがない人にも、沿線の日常生活に入り込んでもらえるだけでなく、かつて林鉄に乗ったことがある人にも旅行時の感動と思い出を呼び起こしてもらえると紹介した。
嘉頌アンサンブルの鄭家麟団長は、台湾の民間団体が自発的に協力してできた成果だとし、創作活動に携わった人々はこの大地を愛し、音楽や映像、鉄道文化など異なった視点から林鉄沿線の人々の営みや文化の物語を芸術作品にしたと説明。創作者たちの思いが詰まった作品を日本に、台湾と林鉄を愛する人々に届けられて光栄だと語った。
台湾世界遺産登録応援会の八田修一代表理事は、「海抜2421メートルの地点まで列車で連れて行ってくれたような嬉しい気持ちになった」と語った。NPO法人みらいの岸田寛昭理事長は、「音楽も映像も語りもとても優しかった」とし、「人間の持っている心の優しさが表れていたような気がする」と語った。
(編集:齊藤啓介)
