(台北中央社)第98回米アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)部門の台湾代表に選出された映画「左撇子女孩」(Left-Handed Girl)の記者会見が25日、台北市内で行われた。同作はカンヌ国際映画祭批評家週間や釜山国際映画祭などではすでに上映されているが、台湾で記者会見が開かれるのは初。シーチン・ツォウ(鄒時擎)監督は同作が構想から20年以上を経て完成したことに触れ、「25年前に着手した映画がついに実現してうれしい」と喜びを示した。
生計を立てるために台北の夜市で商売を営むシングルマザーと2人の娘が、次々と起こるアクシデントと衝突に直面し、それぞれの人生の課題に改めて向き合うことになる―という物語。ツォウ監督の初監督作で、カンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した米国のショーン・ベイカー監督が共同脚本を務めた。出演はジャネル・ツァイ(蔡淑臻)ら。
記者会見には、ツォウ監督や娘役を演じたメーガン・マー(馬士媛)、ニナ・イエ(葉子綺)、夜市の商売人役のホアン・トンホイ(黄鐙輝)らが登場した。
ツォウ監督は同作について、高校の時に祖父から言われた一言が企画のきっかけになったと紹介。祖父から「左手は『悪魔の手』だから左手を使ってはいけない」と言われた話をその後、米国留学中に知り合ったベイカー監督に明かしたところ、これをふくらませて映画化する構想が生まれたという。それが2001年ごろの出来事だったと明かした。
ジャネルとのベッドシーンを演じたトンホイは緊張したか聞かれると「緊張しなかったと言えば、この役に対して無責任で役への向き合い方が不十分だと思う」と話し、撮影に入ってしまえば「それを現実として捉える」と役者としての心持ちを紹介。その上で「ベッドシーンはとても楽しんだ。ジャネルはもっと楽しんでいた」と暴露して取材陣を笑わせた。トンホイの隣にいた現在9歳のニナはトンホイから耳をふさぐよう指示され、両手でかわいらしく耳を覆っていた。
台湾では10月31日公開。11月28日からは米動画配信サービス「ネットフリックス」で台湾や日本などを除く世界の多数の国・地域に配信される。
(名切千絵)