(トロント中央社)カナダ・トロントで開催中の「第50回トロント国際映画祭」で8日、台湾出身のシーチン・ツォウ(鄒時擎)監督と、日本の早川千絵監督による対談が行われた。両監督は、映画業界にいる女性が世界の映画人と積極的に交流をすることや、女性同士で助け合うことの重要性を訴えた。
ツォウ監督の「左撇子女孩」(Left-Handed Girl)と早川監督の「ルノワール」はいずれもセンターピース部門に出品されている。対談では女性映画製作者をテーマにそれぞれが経験を語った。
早川監督は取材に対し、「左撇子女孩」は素晴らしい作品だと称賛。偶然にも「左撇子女孩」と「ルノワール」は同じく女の子の登場人物を描き、家庭の「言えない秘密」を扱っていると紹介した。映画業界の現状については、アジアの女性映画人にとっては次第に良くなっているとの見方を示し、多くの運動が推し進められていると話した。その上で、映画業界で活躍したい女性には、自分の物語を考え、撮影する際に、映画祭に積極的に参加し、世界の映画人と交流して自分のためにより多くの機会を創出するよう助言した。
ツォウ監督も女性映画製作者同士で団結し、助け合うことを呼びかけた。
ツォウ監督は対談で、「左撇子女孩」の最も直接的な影響は「一つの家庭を変えたこと」だと明かした。同作で左利きの女の子を演じたニナ・イエ(葉子綺)は、祖母の教えで元々の左利きを右利きに矯正されており、6歳で同作に参加する際に練習を重ね、ようやく生まれつきの「利き手」を取り戻したという。
現在9歳のニナは取材に対し、「作品を撮り終えると、おばあちゃんは何も言わなくなった。今は左手でご飯を食べ、右手で字を書いています」と告白した。
今年の同映画祭では長編3本、短編2本の台湾関連作品が上映される。駐トロント弁事処(総領事館に相当)によれば、同映画祭に参加する台湾映画としては過去最多。梁毅鵬弁事処長(総領事に相当)は、台湾社会の寛容性や開放性、自由が創作活動の環境を後押しし、より多くの若い芸術・文化界の力が国際の場で示されていることの表れだと話した。
14日まで。