(台北中央社)南部・台南市の農業部(農業省)畜産試験所が、約15年かけて国産生乳を使ったチーズの製造技術を確立した。黄振芳所長は6日、台北市の農業部庁舎で開かれた記者会見で、当初は全く違うものが出来上がったが、徐々に基本的な製造プロセスを確立し、加工業者への技術移転にも成功したと成果をアピールした。
黄所長は、チーズは牛乳に含まれるタンパク質、脂肪、風味成分を濃縮した乳製品で、高い栄養価と多様な製品特性を兼ね備えていると紹介。菌種や製造工程、熟成条件などの違いによって全く異なる風味や食感が生み出されるため、世界の乳製品産業で大きな成長の可能性を持つ製品だとされていると語った。
また台湾ではチーズの人気が年々高まっており、2003年から25年にかけて、需要は2.3倍に拡大したと指摘。試験所では国産生乳を使った固形乳製品の開発とチーズ製造技術確立のため、多くの困難を克服してきたという。
これまでにゴーダチーズや白カビチーズ、クリームチーズなどの基礎的な製造プロセスを確立した。国産生乳を使ったチーズは、鮮度の高さが強みで、台湾ならではの風味を取り入れることもでき、加工技術と創意工夫を組み合わせることでより高い付加価値を生み出せるとしている。
試験所畜産加工組の郭卿雲組長は、国産生乳の8割以上は牛乳や乳飲料、発酵乳などの液状乳製品に加工されている一方、固形乳製品のチーズには大きな成長の余地があるとした。
主に技術開発を担当した葉瑞涵副研究員は、国産生乳を用いたチーズ製造はゼロからのスタートだったと振り返る。初めて白カビチーズ作りに挑戦した際には、緑色や茶色が混ざった恐ろしい見た目の物体が出来上がり、自分でも食べられなかったという。絶え間ない試行錯誤や海外との技術交流を重ね、菌種の活用や生乳を凝固させたカード(凝乳)の製造、熟成管理、品質管理など、重要なノウハウを習得したと話した。
チーズ製造で試験所と協力するイーズバイオテクノロジー(安心生物科技)の責任者、洪嘉男さんは、細切りチーズの製造を約20年行っていたとしつつ、原料は輸入物に依存し、台湾の生乳に切り替えたいと思っていたと話す。国産チーズの利用で、輸送や二酸化炭素などの温室効果ガスの出所を調べるカーボンフットプリントにかかるコストの削減、地元の特色ある原料の活用にもつながると語った。
試験所では、技術開発の他、食農教育を通じた体験学習や双方向学習プログラムで生乳加工の多様性や乳製品加工技術の成果を紹介し、消費者により多くの優良な国産乳製品の選択肢を提供したいとしている。