(台北中央社)東洋のノーベル賞を目指して設立された「唐奨」の第7回受賞者による講演会が19日、台北市内で開催された。永続発展賞を受賞した米マサチューセッツ工科大のスーザン・ソロモン教授は、南極のオゾンホールをテーマに講演し、オゾンホールがゆっくりと修復されていることを示す証拠があると明らかにした。一方で、森林火災や化学原料の漏出により、その修復の速度が遅くなる可能性に懸念を示した。
第7回唐奨はソロモン氏の他、バイオ医薬賞を米国立がん研究所のスティーブン・ローゼンバーグ氏、米コロンビア大のミシェル・サデラン教授、米ペンシルバニア大医学大学院のカール・ジューン教授、漢学賞を中国・復旦大の葛兆光特別招聘上席教授、法治賞を米エール大のブルース・アッカーマン教授がそれぞれ受賞した。18日には台北市内で授賞式が開かれた。
ソロモン氏は、1985年に南極でオゾンホールが発見され、世界に衝撃を与えた経緯やオゾン層を破壊する化学的メカニズムを科学者が段階的に解明した過程を紹介。オゾン層が回復していることを示す証拠が得られたことは、科学と国際政策が連携して地球規模の環境危機に対応した重要な事例だと語った。
その上で、環境問題に取り組むには三つの条件が必要だと強調。一つ目は問題が人々の生活に直接関係していること、二つ目は一般の人々が直接実感できること、三つ目は実行可能な具体的な解決策があることだとし、オゾンホールの修復はこれらの条件を満たしていたと語った。
また、オゾン層の破壊問題は政策面では対処が難しい地球規模の危機と見なされていたが、各国は最終的に国連の枠組みの下で「モントリオール議定書」に署名し、多くの国々が参加した数少ない国際環境条約の一つになったと指摘。当初はクロロフルオロカーボン(CFC)の排出を凍結することが求められたが、その後CFCを含む製品の生産量削減、廃止へと段階的に規制が強化されたとし、世界の塩素排出量は限りなくゼロに近づく傾向にあるとした。
各地の観測データが蓄積されるのにつれて、主要な成層圏のCFC濃度はすでに低下し始めていることが分かっており、モントリオール議定書が実際に効果を上げていることが示されていると説明。ただ、南極のオゾンホールが拡大する速度は以前よりも鈍化し、オゾン層回復の兆候が見られるとする一方、CFCの寿命は50~150年に及ぶため、オゾンホールを完全になくすことができるかどうかは分からないと述べた。