(東京中央社)近代台湾の美術作品約200点と資料約500点、日本の作品約100点を集め、近代の台湾と日本を多様な芸術文化を通して見つめ直す展覧会「共時的星叢-時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」が5日から12月13日まで東京都現代美術館で開催されている。4日には開幕式典が開かれ、ゲストキュレーターで映画監督の黄亜歴さんは、台日双方で時を共にした対話が生まれることを期待すると語った。
展示は、2019年に中部・台中市の国立台湾美術館で初めて開催されたもので、1930年代の南部・台南で結成されたモダニズム詩のグループ「風車詩社」をテーマにした黄さんのドキュメンタリー作品「日曜日の散歩者」を起点にしている。同作品は、日本統治時代の台湾にシュルレアリスムを導入しようとするとともに、日本語での創作を試みた詩人たちを記録している。
展示空間では、黄さんが手がけた映像や反射材、迷路のような動線が組み合わさり、空間自体が来場者を含めた複数の関係性の交差を生み出す媒介になっている。
東京都歴史文化財団の二宮雅也理事長は、「星叢」の意味について星が集まることを意味していると紹介した上で、展示では既存の物語や単一の歴史観では完全に捉えられない人物とその文化的実践に焦点を当てていると説明。来場者の異なった視点や人生の経験と結び付き、新たな星の集まりが形成されることを期待していると語った。
また東京での開催について、台湾と日本の相互理解を深め、新たな学びと交流をもたらし、台日間の深い文化的つながりを示すことを望むとした。
黄さんは、詩社のメンバーの目を通じて、約100年前の台湾の創作者がどのように近代化の波の中に身を置き、芸術を通して世界と同時代的に対話していたかが分かると指摘。キュレーターチームも断片的に残された文献から手掛かりを探し、詩社を起点にさまざまな芸術分野へと視野を広げ、あまり知られていない、黙々と創作に取り組んだ多くの芸術家を再発見したと語った。
また、東京での展覧会開催については、台湾と日本は戦前、近代文明の現地化による衝撃や文化的アイデンティティーなどといった深刻な課題を共に経験し、歴史や政治構造も当時の芸術創作に大きな影響を与えたからだと説明。戦後は政治的弾圧や言語の断絶で一時的な沈黙を余儀なくされたとし、新たな対話に期待を寄せた。
その上で、反省と共感の心を持ち、先人たちが困難な時代に払った努力を振り返ってこそ、現代において芸術的価値の深い探究に立ち返り、現在の民主主義と自由の尊さを理解できると語った。