何でもAI(人工知能)に尋ねる一方で、AIが「ハルシネーション(幻覚)」によって誤った回答をするのではないかと心配していないだろうか。中央通訊社(中央社)がその不安を解消する。「中央社MCP」の購読サービスが31日、正式にスタートした。台湾の報道機関として初めて「モデル・コンテキスト・プロトコル(MCP)」を通じてAIエージェントに信頼性の高いニュースサービスへのアクセスを提供するもので、繁体字中国語メディアとしても先駆けとなる取り組みだ。
中央社MCPは、過去30年以上にわたる約500万本のニュース記事に加え、100年間に撮影された約350万枚のニュース写真、2000年以降の「世界年鑑」データベース、台湾全土約150の政府機関のオープンデータを統合。クロードやチャットGPTなどのAIアプリケーションが回答する際、これらの情報をリアルタイムで検索できる。強制的に出典を明記させることで、ニュースに関するAIへの質問で起こりがちな「質問とは異なる回答をする」「情報源が示されない」といった問題の改善を図る。
MCPはAIの標準プロトコルの一つで、チャットGPT、クロード、グロックなどのAIアプリケーションがツールを呼び出したり、データベースを検索したりすることを可能にする。
AIの普及に伴い、ユーザーがニュースサイトを訪れることなくAIから直接情報を得る「ゼロクリック」が、ニュースサイトのアクセス数に与える影響はますます大きくなっている。こうした過程で信頼できるソースによる裏付けがなければ、海外の情報を中心に学習した大規模言語モデル(LLM)が台湾に関する問題に回答する際、事実誤認や特定の立場に偏るリスクが高まる。中央社MCPは、まさにこの不足を補うことを目指している。
利用者は中央社MCPを購読するだけで、これまで使ってきたAIの利用方法を変えることなく、普段使い慣れたツール上で中央社が提供する正確で信頼性の高いニュースを活用し、より質の高い回答と検証済みのニュースソースを得ることができる。AIの回答では、中央社が長年蓄積してきた繁体字中国語の用語、表現が自動的に取り入れられる他、専門的なニュース編集機関によるファクトチェックツールを呼び出し、疑わしい情報を検証することも可能となる。視覚的な情報を好む利用者向けには、タイムラインや過去の写真、インフォグラフィック、ナレッジグラフなどの形式で回答を生成することもできる。
現在の地政学的情勢を踏まえ、台湾は対外発信を強化する必要に迫られている。AIが中央社MCPの情報を呼び出し、中央社が運営する「フォーカス台湾」の英語、日本語、インドネシア語への翻訳スキルと組み合わせることで、AIによる正確な情報生成をサポートできる。中央社は、このMCPサービスによって繁体字中国語のニュースや台湾の視点が言語の壁を越え、海外の読者がAIを通じて台湾を知る機会につながることを期待している。これは、法律によって定められた中央社の任務である「国際社会への継続的な発信」を新たな形で実践する取り組みでもある。
AI時代においても、中央社は正確な事実を伝える最前線に立ち続け、台湾の歴史的な深みと広がりを兼ね備えた情報を読者に提供していく。中央社メディア実験室は、米グーグルが設立した「台湾ニュースデジタル共栄基金」のプロジェクト「nDX台湾ニュースデジタル革新計画」の支援を受け、中央社MCPサービスの開発を加速させることができた。
中央社MCPの購読料は月額200台湾元。現在購読すれば早期加入者向けの特典として検索回数の上限が引き上げられ、より多くの情報やツールをいち早く試すことができる。
操作や設定が面倒だと感じる利用者に向け、中央社は今後「AskCNA」サービスも開始する予定。中央社の公式サイト上で直接質問すると、AIがリアルタイムで回答し、中央社の記事への引用リンクと、確認可能な原文も提示する。これにより、利用者はより迅速にトピックの背景や流れを把握できるようになる。詳細は公式サイト(https://ask.cna.com.tw/)にて。