(台東中央社)オーストロネシア語族のたたき樹皮紙を専門に研究する坂本勇・元吉備国際大学教授が1日、自身が収蔵する樹皮紙・布と関連工具計45点を東部・台東県の国立台湾史前文化博物館に寄贈した。米国や中国からも収蔵を希望する声があったといい、坂本さんは「心の中で(寄贈先に)最も望んでいたのが台湾だった」と語った。
寄贈された文物は、インドネシアやタヒチ、メキシコで収集された。台湾のオーストロネシア文化や地域比較研究において重要な資源となる。
この日、同館で行われた寄贈式で坂本さんは、これらの文物の今後の帰属先への懸念が、寄贈を考える直接的なきっかけになったと言及。長年管理に協力していた友人の死去や自身の健康状態もあり、将来的に適切に保管されず、ばらばらに売却されたり、価値を理解されずに廃棄される可能性を不安視した。これまでの30年以上に及ぶ研究の積み重ねを途絶えさせないようにするため、今年4月に同館に連絡した。
坂本さんは、樹皮紙はこれまで学術界で「織物技術が登場する前の原始的な布」と安易に定義されがちで、その背後にある深い精神や信仰、文化的意味は軽視されていたと指摘。これらは現代において、深く探求し、正視する価値が十分にあるとの考えを示した。また、樹皮紙の原料となる「カジノキ」が台東の街中の至る所にあることに気づいたと述べ、台湾は世界で最も豊かな樹皮紙研究の可能性を秘めている一方で、研究の進捗(しんちょく)は「おそらく最も遅れている」との見方を示した。
同館の蔡政良館長は、今回の寄贈は館内の東南アジア方面の樹皮紙の収蔵を補強し、台湾から東南アジア、オセアニアまでの比較視野を構築するものだと紹介。寄贈を通じ、台東は台湾、日本、東南アジア、オーストロネシアを結び付ける重要な拠点になるとし、国際協力を引き続き深化させていく考えを示した。

