1930年代、日本統治時代の台湾で、台湾の詩人が主導となって発足させた超現実主義の文学団体「風車詩社」をテーマにしたドキュメンタリー映画「日曜日式散歩者」が9月中旬、台湾で公開された。日本語で書かれた詩と当時の日本を写した写真や映像を織り交ぜながら、メンバーの文学、詩に対する情熱を描いた作品で、“映像で感じる詩”とも言える独特の世界観が表現されている。
ホアン監督は資料収集をしていた際に偶然「風車詩社」の存在を知り、それをきっかけに同作の製作に着手。3年におよぶ実地調査や史料探し、メンバーの家族へのインタビューを経て、上映時間2時間42分におよぶ大作を完成させた。
近年、「湾生回家」や「海の彼方」など日本統治時代に関係するドキュメンタリー映画が複数製作され、注目を浴びている。上記2作は当時を実際に体験した人物が登場し、温もりを感じられる作品に仕上がっている一方、「日曜日式」は歴史資料をメインとしたアプローチがされており、文学という新たな視点から日本統治時代の一面をかいま見させてくれる。また、ストーリーは日本統治時代だけでなく、台湾光復、白色テロにまで及び、国民党政権に詩人が処刑、あるいは抑圧された悲しい歴史も描かれている。
(名切千絵)