(台北中央社)農業部(農業省)林業・自然保育署(林保署)は14日、捕獲後に野生環境に返す「放獣」を行ったタイワンツキノワグマ2頭の追跡データや映像を初めて公開した。追跡に携わった関係者は、クマには学習能力と食料源に関する記憶があることから、ヒトとクマの遭遇を避けるためには、クマがヒトの食べ物を得られるつながりを遮断する必要があると指摘した。
林保署によると、台湾ではここ数年、クマの生息範囲が標高が比較的低い地帯にまで広がっており、ヒトとの遭遇が増えている。
公開された映像には、放獣した個体のうち1頭が山地でタイワンサンバーの死骸やタイワンカモシカの脚の残骸を食べる様子のほか、山地の作業員が放置した弁当の残飯を食べたり、作業小屋の周辺を動き回ったりする様子が収められた。
これに関し林保署の林華慶署長は、工事や農業、登山など、山地で活動する全ての人に対し、クマがにおいによって人間の生活・活動範囲に引き寄せられることを避けるために、食べ残しや生ごみなどを適切に処理するよう呼びかけた。
また、映像はもう1頭が2024年から25年にかけての冬季に、穴の中に70日間こもっている様子も捉えた。タイワンツキノワグマの季節的な活動と越冬時の生態を初めて記録した貴重なデータだという。
林保署保育管理組野生物保育科の高雋科長は、台湾ではこれまでタイワンツキノワグマは冬眠しないとされてきたと言及。体温や心拍数に関するデータが不十分なため、典型的な冬眠ではない可能性もあるが、学術的な発見だと述べた。
東海大学(中部・台中市)生態・環境研究センターの林良恭特別教授は、台湾のクマによる被害は日本ほど深刻ではないものの、タイワンツキノワグマの個体数は今後も増加し続けるとし、より十分な予算による支援が必要になるとの考えを示した。