(台北中央社)半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の羅唯仁元シニア・バイス・プレジデントが、退職前に回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体などの先端製造プロセス技術に関する機密情報を持ち出した疑いがあると、一部メディアが18日に報じた。台湾高等検察署(高検)は同日、知的財産検察分署がすでに検番を付与し、違法性の有無を確認するための調査を開始していると発表した。
報道によれば、羅氏は7月末にTSMCを定年退職。退職前に職権を利用して部下に報告を行わせ、2ナノやさらに先進的なA16(1.6ナノ)、A14(1.4ナノ)プロセス技術に関する機密情報を大量に印刷して持ち出したとされる。業界内では羅氏が10月末に古巣の米インテルに移ったとのうわさも取り沙汰されているという。
龔明鑫(きょうめいきん)経済部長(経済相)は19日、記者団に対し、政府として国家安全保障上の利益、産業全体の利益、個別企業の損失の三つのレベルで関心を寄せていると説明。国家安全保障の面では、経済部(経済省)は高検の調査に協力して中核的重要技術の管理方式について説明し、国家安全法違反の疑いがあるかを確認すると述べた。
企業の個別の利益に関しては、TSMC側の判断を十分に尊重し、必要に応じて支援する方針を示した。
また、重要技術の流出防止措置は万全かとの質問には、すでに関連の仕組みを構築しており、中核的重要技術の範囲を随時更新していくと答えた。

