(屏東中央社)第2次世界大戦中に多くの戦没者を出した台湾南方のバシー海峡の歴史を伝える歌を弘前学院大学の講師、井上裕太さんが作詞作曲し、26日に南部・屏東県の大同高校で生徒らによって合唱曲が披露された。井上さんは、歴史を未来につなげてほしいと語っている。
曲名は「海峡の涙」。「歴史を記録に残すことをやりたかった」と話す井上さんが、南洋に赴いた台湾人日本兵の物語や戦死した多くの日本兵の遺体や生存者が漂ったバシー海峡の惨状をまとめた電子書籍「バシー海峡の涙」の著者で地元の歴史研究家、念吉成さんの依頼を受けて作成した。
昨年大同高に歌を紹介したところ、生徒や教員らから大きな共感を呼び、音楽教師の陳玉書さんや生徒が協力し、台湾と日本の要素を取り入れながら編曲。今年7月には同校の吹奏楽部が訪日し、日本でも披露された。
26日には井上さんや念さんが大同高を訪問。交流会が開かれ、井上さんと生徒らが合唱した。 生徒の一人は、歴史は遠いものと思っていたが、自分の知らない場所でひっそりと起きていたことを知り、海峡の涙を通じて屏東の歴史を理解することができたと語った。
念さんは報道陣の取材に、多くの国で小さな衝突から戦争が起き、大勢の母親が子供を失っていると指摘。長年続けている執筆活動を通じて平和を祈りたいと語った。
井上さんは、今後も引き続き文学を通じてより多くの交流をしたいと話した。