中央通訊社は30日、2025年の台湾10大ニュースを発表した。東部・花蓮での洪水や台北無差別襲撃事件などが選ばれた。
今年1月1日から12月27日までの期間を対象に、中央社が選んだ。
花蓮県の馬太鞍渓で発生したせき止め湖が9月23日にあふれ出し、大量の河水が堤防を越えて下流の光復郷に流入した。この洪水被害で、19人が死亡した。この事態は台湾全土で大きな関心を集め、各地からボランティアが自発的に道具を携えて現地入りし、泥の撤去作業に協力した。彼らは「シャベル・スーパーマン」(鏟子超人)と呼ばれ、SNSや国内外のメディアで広く話題となり、海外のボランティアが救援活動に参加する動きにもつながった。各界から寄付金も相次ぎ、衛生福利部(保健省)の専用口座には13億9000万台湾元(約69億円)が寄せられた。
【写真・動画特集】花蓮県で洪水 台風18号による大雨でせき止め湖あふれる
洪水被害の花蓮県光復郷に多くのボランティア 心温まるエピソードも
12月19日、台北市の中心部、台北メトロ(MRT)台北駅や隣駅の中山駅そばの商業施設で、27歳の男が発煙弾を投げ、通行人らを刃物で相次いで襲う事件が発生。3人が死亡、11人が負傷した。張文容疑者(27歳、無職)は犯行後に、商業施設のビルから飛び降り、死亡した。この事件は社会に大きな衝撃を与え、公共の安全や治安をめぐる問題に広く関心が集まった。
台北の無差別襲撃は計画的犯行 容疑者は1年半以上かけ準備か=台北市警察局
台北駅出口に追悼ボード 身を挺して人々守った男性への感謝伝える
野党・国民党と民衆党が立法院(国会)で過半数を占めているのを背景に、与野党の対立が激化している。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は12月15日、立法院が可決した財政収支配分法改正案に、法の公布に必要な副署(連署)を行わないと発表。これに対し、国民・民衆両党の議員団は、2026年の中央政府総予算の審査を引き延ばし、武器購入特別条例を否決するとともに、頼清徳(らいせいとく)総統に対する弾劾案手続きを始動させた。
卓行政院長、財政収支配分法改正案に副署せず 改正手続きが「民主主義に違反」
立法院、総統弾劾案の表決を来年5月に実施へ 審査会には頼総統を招致/台湾
10月21日、中部・台中市梧棲区の養豚場で、死亡した豚の検体からアフリカ豚熱(ASF)の陽性反応が確認され、その後の詳しい分析で、ASFの確定診断が出た。台湾でのASF発生は初めて。政府はブタの移動と食肉処理の禁止などの対策を講じ、感染拡大を防いだ。
米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン(黄仁勲)CEOは、5月のICT(情報通信技術)産業見本市「コンピューテックス」(台北国際電脳展)で、台湾本社を台北市の士林・北投地区に設置すると発表した。台北市が開発を進めるテクノロジーパーク「北投士林科技園区」のT17、T18区画が最有力候補とされたが、地上権が保険大手の新光人寿に属しており、地上権や契約解除手続きをめぐる契約・法令上の制約から用地移転が難航し、さまざまな議論を呼んだ。市政府が度重なる調整を行う中、新光人寿は10月、合意条件の下で契約を解除すると表明。台北市の蒋万安(しょうばんあん)市長は10月29日、エヌビディアがT17、T18に拠点を置くと発表し、行政手続きを開始した。
エヌビディア、台北市の北投・士林に海外本部設置へ=ジェンスン・フアンCEO
エヌビディア台湾本社用地 地上権の抹消手続き終了 来年にも着工へ=台北市長
立法院での複数の法改正に不満を持つ市民団体によって、国民党の立法委員(国会議員)24人と元民衆党の高虹安新竹市長に対するリコール運動が展開された。リコールの賛否を問う投票が7月26日と8月23日の2回に分けて行われたが、いずれも成立しなかった。
【写真特集】リコール全て不成立 支持・反対両派、悲喜こもごも
今後の政局、より厳しく リコール「失敗」で専門家分析 与野党の和解が必要
台湾師範大学(台北市)で女子サッカー部のコーチを務めていた准教授が、部員の学生に「応じなければ単位を与えない」と脅して研究用血液の提供を強要した問題で、国家科学・技術委員会は9月16日、この准教授のコーチ資格取り消しと、関与した教授、准教授に対する職務停止などの懲戒処分を決定した。同大はこの准教授の博士論文についても調査し、研究対象に未成年者が含まれていたにもかかわらず、保護者の同意を得ていなかったと認定し、博士号の取り消しを決定した。
台湾師範大 女子サッカー部コーチが部員に研究用血液提供を強制 教育部、大学に改善指示
トランプ米大統領の関税措置に対応するため、立法院は10月17日、国民や一部外国人居住者への現金1万台湾元(5万円)の給付などを盛り込んだ特別予算案を可決した。現金の支給は11月12日から始まり、約1カ月で対象者の85%に当たる2012万人が受け取った。
現金一律給付、特別予算案が立法院で可決 来月上旬から順次支給開始へ
半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家董事長(会長)兼総裁(CEO)とトランプ米大統領は3月3日、ホワイトハウスで記者会見を開き、TSMCによる少なくとも1000億ドルの対米追加投資を発表した。ウエハーを製造する3工場と先端パッケージング工程を手掛ける2工場、主要研究開発チームセンター1カ所を新たに建設する。
【再掲】TSMC「日本と台湾の投資計画に影響なし」 米国への1000億ドル投資発表で
1歳男児を虐待して死亡させたとして、台湾台北地方法院(地裁)は5月13日、姉妹の女2人に対し、児童虐待致死罪などでそれぞれ無期懲役と懲役18年の判決を言い渡した。この事件は社会から大きな注目を集め、児童虐待や児童虐待致死に死刑を適用する刑法改正につながった。
(編集:名切千絵)






