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中央社が選ぶ2025年台湾の10大ニュース

2025/12/31 15:56

中央通訊社は30日、2025年の台湾10大ニュースを発表した。東部・花蓮での洪水や台北無差別襲撃事件などが選ばれた。

今年1月1日から12月27日までの期間を対象に、中央社が選んだ。

①花蓮でせき止め湖から水があふれる 下流域に深刻な洪水被害

橋桁は流失し、橋脚のみが残った=2025年9月24日、中央社記者李先鳳撮影
橋桁は流失し、橋脚のみが残った=2025年9月24日、中央社記者李先鳳撮影

花蓮県の馬太鞍渓で発生したせき止め湖が9月23日にあふれ出し、大量の河水が堤防を越えて下流の光復郷に流入した。この洪水被害で、19人が死亡した。この事態は台湾全土で大きな関心を集め、各地からボランティアが自発的に道具を携えて現地入りし、泥の撤去作業に協力した。彼らは「シャベル・スーパーマン」(鏟子超人)と呼ばれ、SNSや国内外のメディアで広く話題となり、海外のボランティアが救援活動に参加する動きにもつながった。各界から寄付金も相次ぎ、衛生福利部(保健省)の専用口座には13億9000万台湾元(約69億円)が寄せられた。

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②台北で無差別襲撃、3人死亡

無差別襲撃事件の現場となった台北メトロ台北駅の地下通路で弔いの花を手向ける市民=2025年12月20日、中央社撮影
無差別襲撃事件の現場となった台北メトロ台北駅の地下通路で弔いの花を手向ける市民=2025年12月20日、中央社撮影

12月19日、台北市の中心部、台北メトロ(MRT)台北駅や隣駅の中山駅そばの商業施設で、27歳の男が発煙弾を投げ、通行人らを刃物で相次いで襲う事件が発生。3人が死亡、11人が負傷した。張文容疑者(27歳、無職)は犯行後に、商業施設のビルから飛び降り、死亡した。この事件は社会に大きな衝撃を与え、公共の安全や治安をめぐる問題に広く関心が集まった。

台北無差別襲撃 容疑者含む4人死亡、2人重体 捜査続く

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③与野党の対立激化 行政院長による改正案への副署拒否巡り

頼総統の弾劾を訴える国民党の立法委員ら=台北・立法院で2025年12月26日、中央社撮影
頼総統の弾劾を訴える国民党の立法委員ら=台北・立法院で2025年12月26日、中央社撮影

野党・国民党と民衆党が立法院(国会)で過半数を占めているのを背景に、与野党の対立が激化している。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は12月15日、立法院が可決した財政収支配分法改正案に、法の公布に必要な副署(連署)を行わないと発表。これに対し、国民・民衆両党の議員団は、2026年の中央政府総予算の審査を引き延ばし、武器購入特別条例を否決するとともに、頼清徳(らいせいとく)総統に対する弾劾案手続きを始動させた。

卓行政院長、財政収支配分法改正案に副署せず 改正手続きが「民主主義に違反」

立法院、総統弾劾案の表決を来年5月に実施へ 審査会には頼総統を招致/台湾

④アフリカ豚熱発生 台湾で初確認

アフリカ豚熱の発生が確認された台中市の養豚場=アフリカ豚熱中央前進対策所提供
アフリカ豚熱の発生が確認された台中市の養豚場=アフリカ豚熱中央前進対策所提供

10月21日、中部・台中市梧棲区の養豚場で、死亡した豚の検体からアフリカ豚熱(ASF)の陽性反応が確認され、その後の詳しい分析で、ASFの確定診断が出た。台湾でのASF発生は初めて。政府はブタの移動と食肉処理の禁止などの対策を講じ、感染拡大を防いだ。

台湾、アフリカ豚熱の感染を初確認

ブタの移動や食肉処理の禁止期間を延長 台湾でアフリカ豚熱

⑤エヌビディアの台湾本社、紆余曲折の末に決定

米半導体大手エヌビディアの台湾本社が建設される見通しとなった台北市のテクノロジーパーク「北投士林科技園区」のT17、T18区画=2025年10月29日、中央社記者王騰毅撮影
米半導体大手エヌビディアの台湾本社が建設される見通しとなった台北市のテクノロジーパーク「北投士林科技園区」のT17、T18区画=2025年10月29日、中央社記者王騰毅撮影

米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン(黄仁勲)CEOは、5月のICT(情報通信技術)産業見本市「コンピューテックス」(台北国際電脳展)で、台湾本社を台北市の士林・北投地区に設置すると発表した。台北市が開発を進めるテクノロジーパーク「北投士林科技園区」のT17、T18区画が最有力候補とされたが、地上権が保険大手の新光人寿に属しており、地上権や契約解除手続きをめぐる契約・法令上の制約から用地移転が難航し、さまざまな議論を呼んだ。市政府が度重なる調整を行う中、新光人寿は10月、合意条件の下で契約を解除すると表明。台北市の蒋万安(しょうばんあん)市長は10月29日、エヌビディアがT17、T18に拠点を置くと発表し、行政手続きを開始した。

エヌビディア、台北市の北投・士林に海外本部設置へ=ジェンスン・フアンCEO

エヌビディア台湾本社用地 地上権の抹消手続き終了 来年にも着工へ=台北市長

⑥立法委員への大規模リコール運動、投票結果は全て成立せず

立法院での複数の法改正に不満を持つ市民団体によって、国民党の立法委員(国会議員)24人と元民衆党の高虹安新竹市長に対するリコール運動が展開された。リコールの賛否を問う投票が7月26日と8月23日の2回に分けて行われたが、いずれも成立しなかった。

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⑦師範大女子サッカー部のコーチが部員に研究用血液の提供を強要

台湾師範大学(台北市)で女子サッカー部のコーチを務めていた准教授が、部員の学生に「応じなければ単位を与えない」と脅して研究用血液の提供を強要した問題で、国家科学・技術委員会は9月16日、この准教授のコーチ資格取り消しと、関与した教授、准教授に対する職務停止などの懲戒処分を決定した。同大はこの准教授の博士論文についても調査し、研究対象に未成年者が含まれていたにもかかわらず、保護者の同意を得ていなかったと認定し、博士号の取り消しを決定した。

台湾師範大 女子サッカー部コーチが部員に研究用血液提供を強制 教育部、大学に改善指示

⑧トランプ関税に対応 現金一律給付を決定、施行

台湾の各種紙幣=中央社資料写真
台湾の各種紙幣=中央社資料写真

トランプ米大統領の関税措置に対応するため、立法院は10月17日、国民や一部外国人居住者への現金1万台湾元(5万円)の給付などを盛り込んだ特別予算案を可決した。現金の支給は11月12日から始まり、約1カ月で対象者の85%に当たる2012万人が受け取った。

現金一律給付、特別予算案が立法院で可決 来月上旬から順次支給開始へ

現金一律給付、2012万人が受領済み=支給開始から約1カ月

⑨TSMC、1000億ドルの対米追加投資を発表

TSMCのロゴ=中央社資料写真
TSMCのロゴ=中央社資料写真

半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家董事長(会長)兼総裁(CEO)とトランプ米大統領は3月3日、ホワイトハウスで記者会見を開き、TSMCによる少なくとも1000億ドルの対米追加投資を発表した。ウエハーを製造する3工場と先端パッケージング工程を手掛ける2工場、主要研究開発チームセンター1カ所を新たに建設する。

【再掲】TSMC「日本と台湾の投資計画に影響なし」 米国への1000億ドル投資発表で

⑩1歳男児が虐待死、刑法改正で児童虐待に死刑適用

1歳男児を虐待して死亡させたとして、台湾台北地方法院(地裁)は5月13日、姉妹の女2人に対し、児童虐待致死罪などでそれぞれ無期懲役と懲役18年の判決を言い渡した。この事件は社会から大きな注目を集め、児童虐待や児童虐待致死に死刑を適用する刑法改正につながった。

(編集:名切千絵)

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