(台北中央社)東部・花蓮県でせき止め湖から水があふれ出したことで生じた洪水被害で、経済部(経済省)水利署の林元鵬署長は24日、下流の市街地の被害について、堤防と橋の崩壊により、想定の4倍を超える水が河川からあふれたことが原因だとの見方を示した。東華大学(花蓮県)の防災チームによれば、湖から水があふれ出した当時、1540万トンの水が一瞬で流れ出た計算になるという。
林氏は取材に対し、激流で下流南側の300メートル近い堤防が決壊した上に、橋の崩壊で水がせき止められ、河川の多くの地点で氾濫が生じたと説明。水量が想定の4倍を超えたことが洪水の原因だと述べた。
農業部(農業省)林業・自然保育署は7月25日、衛星観測データにより、馬太鞍渓の上流にせき止め湖が形成されたことを確認した。天然ダム(堤体)は高さ約120メートル、全長500メートル、幅1650メートルで、体積は約5445万立方メートル。せき止め湖の貯水面積は約18ヘクタール、貯水体積は約1400万立方メートルに上る。
同署によれば、「せき止め湖」とは広い定義では、崩された大量の土砂が川の流れをふさいで形成された湖。堤体の構造がゆるいために崩壊しやすく、決壊すれば大量の水が流れ出し、下流域に甚大な被害をもたらす。
東華大の防災チームによれば、せき止め湖の水は23日午後2時50分にあふれ出し、30分間で水位は1141メートルから1127メートルにまで減少。1540万トンの水が一瞬で流れ出た計算になる。これは五輪の競泳プール6000個分の水量に相当するという。
同チームは、湖の構造は安定しているものの、水があふれ出す期間には依然として決壊するリスクがあるとの専門家の暫定的見解を明らかにした。