(金門中央社)民主主義諸国の国会議員で構成する「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)のメンバーが9日、海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)の巡視船に乗船し、中国福建省に近い離島・金門の周辺海域を視察した。対岸の中国アモイの高層ビルや、中国が埋め立て地に建設中の翔安空港を肉眼で確認し、インド太平洋情勢下で前線にある島しょに漂う、戦略的な緊張感と日常の穏やかさが対比を成す独特の雰囲気を肌で感じた。
視察には英国やニュージーランド、チェコ、ウクライナの国会議員やインドの元議員、IPACの共同創設者で事務局長のルーク・デ・プルフォード氏らが参加。IPACの台湾共同主席を務める与党・民進党の范雲立法委員(国会議員)や野党・民衆党の陳昭姿立法委員も同行した。中央社記者は船上で同行取材した。
一行は午前10時に金門島西部の水頭埠頭(ふとう)から100トン級巡視船に乗船。約2時間をかけて金門南西部から南東部まで時計回りに航行した。水頭埠頭を出て北に進み、金門とその西の離島・列嶼を結ぶ金門大橋を抜けると、アモイの海岸線が肉眼ではっきりと確認できた。各国議員は次々と後部甲板に移動し、高層ビルが立ち並ぶアモイの海岸線を眺めていた。自国の人々に中国と台湾の安全保障情勢を説明する動画をスマートフォンで撮影する議員の姿も見られた。
海巡署職員は船上で、金門の海上の安全保障の現状や中国海警船のグレーゾーン活動などの問題を説明した。金門島の北側の海域を航行中には、翔安空港建設地や、台風9号の接近に備えて空港沖に錨泊する中国船もはっきり見えた。
デ・プルフォード氏は取材に対し、今回の視察は、各国の国会議員が海巡署巡視船に同行してパトロールを行う初めての機会になったとし、台湾で今起きていることを自らの目で確認することは極めて重要だと述べた。また、国際的な議員団が同様の視察を行うのは初めてで、これは両岸(台湾と中国)の平和に対する世界各国の関心の高さも反映しているとの見方を示した。
英国のトリス・オズボーン下院議員は、台湾の領土一体性を守り、その海域が中国によって侵犯されないようにするために、各国は台湾と団結する必要があると訴えた。
前日の8日には金門海域で中国海警船が確認されたが、この日は海警船の姿はなかった。台風を前に帰港したとみられている。
視察の前半、船上には厳粛な雰囲気が漂っていたが、金門南東部の料羅港に向けて方向を変え、中国の海岸線から次第に遠ざかると、雰囲気は次第に和らいだ。ある議員は、機材のトラブル防止の願掛けとして前方に置かれていたスナック菓子「乖乖」(「いい子、いい子」の意味)に興味を示していた。
一行は金門海域の視察を終えた後、海巡署艦隊分署第九海巡隊と非公開で交流し、午後に飛行機で台北に向かった。

