(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は22日、北東部・宜蘭県蘇澳を訪れ、海軍艦隊指揮部168艦隊の隊員らを激励した。政府は今後継続して防衛費を増やすとし、2030年までには北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求めた目標と同じ、国内総生産(GDP)比5%への引き上げが望めると語った。軍人の待遇改善についても前向きな姿勢を示した。
頼総統は、近年は中国による台湾への脅威が日増しに高まり、グレーゾーンでの嫌がらせの回数も多くなっていると指摘。国軍は圧力を恐れず、敵情を正確に把握して戦闘訓練を強化しており、国民が安心できるよりどころになっていると述べた。その上で、軍隊内の日頃のささいな出来事も敵からすれば重要な情報になり得るとし、警戒心を高めるよう求めた。
また来年度の防衛費はGDP比で3.32%になると説明。予算の引き上げを通じ、国家の安全や民主主義、自由、人権を守る決意だけでなく、国際社会と肩を並べて共に抑止力を発揮し、インド太平洋の平和と安定を守る意欲を示すと語った。
国軍の給与増額を目指して立法院(国会)が可決しながらも、行政院(内閣)が立法院に予算を組む権利がないなどとして違憲審査を申し立てる方針の「軍人待遇条例」については、司法院大法官が違憲性はみられないと判断した場合、当初の施行日にさかのぼって増額分を支給すると語った。違憲とされた場合は別の方法で国軍を支援するとした。
頼総統は同日、フェイスブックを更新し、軍事施設の改修や福利厚生の改善に加え、国内での製造や、海外からの購入などを通じて、次世代フリゲートや無人兵器など、より高性能な武器や装備を導入すると強調。国内の軍需産業を強化し、時代に即した形で国軍全体の戦力を向上させると語った。