(台北中央社)世界人権デーの10日を前に、頼清徳(らいせいとく)総統は6日、北部・新北市の国家人権博物館白色テロ景美記念園区で開かれた関連式典に出席し、外来の権威主義勢力を含むいかなる人や勢力にも、台湾を過去の民主主義と自由のない時代に逆戻りさせてはならないと語った。また平和と人権、法の支配の価値を堅持し、世界の民主主義パートナーと共に権威主義の侵入に対抗して地域の平和と安定を守り、世界の繁栄と発展を促す意欲を示した。
頼総統は、台湾は「人権立国」として絶対に逆戻りはせず、台湾社会で起きた過去のつらい状況が繰り返されることを許さないと強調。国家をより安全にし、民主主義を深化させ、人権問題に着実に取り組むことを、国民党政権が市民の思想や言論を弾圧した白色テロの被害者らに約束した。
また今後は真相調査や記憶の保存、被害者の潔白証明と尊厳回復に取り組む方針を示し、過去の人権侵害などの真相究明を目指す移行期の正義は決して過去のものではなく、台湾がどのような国になるかに関係していると主張。各部会(省庁)と民間団体の協力を進め、関連の基金を運用して人権や移行期の正義に関する取り組みを推進し、権威主義統治が残した傷を補い、民主主義の基盤と強靭(きょうじん)性をより強化すると語った。
さらに、国民党政権が市民を弾圧した1947年の2・28事件や、白色テロ、民主化を訴えるデモの参加者と警察が衝突した79年の美麗島事件を経験した台湾は、誰よりも自由や人権の尊さを理解しているとし、この得難い成果を守る決意があると述べた。
その上で、国家の安全保障を守ってこそ、この大地に住む一人一人の人権と自由を守れると述べ、台湾は権威主義政権から民主主義を勝ち取った経験を、権威主義の影の中で暮らす人々と共有する意欲があると語った。