(台北中央社)台湾の金融持ち株会社、台新ホールディングス(台新金控)は新光フィナンシャルホールディングス(新光金控)を吸収合併し、7月24日に「台新新光金控」として新たなスタートを切る。合併の立役者となったのが、台新HDの呉東亮董事長(会長)だ。呉氏は7日、中央社の単独インタビューに応じ、台新新光金控の今後のビジョンについて語った。
吸収合併で、資産規模は国内4位、店舗数は200を超え、台湾の民間銀行で最多となる。
呉氏は、規模を拡大するだけでは意味がないと語る。関心を寄せるのは「金融機関がどこに向かうか」だ。
金融業はサービス業でもあり、台湾の内需市場だけを見てはならないと呉氏。新会社は「台湾に根を下ろし、アジアを開拓し、世界に目を向ける」とし、金融サービスは顧客の歩みに合わせ、国境を越えたサービスを提供する必要があると訴える。
国内市場では、既存の店舗はできるだけ残し、支店を通じて証券や保険、投資信託などの商品を売り込む。また、オンラインサービスも拡大する。
台新HDは早くからアジア市場に進出してきた。台新国際商業銀行は2016年に東京支店を開設。24年には福岡出張所を設けた。日本の半導体産業集積地や日本に進出する台湾企業に金融サービスを提供するのが狙いだ。
現在、台新銀行はアジア地域では香港、シンガポール、日本、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、中国の7の国・地域に、4支店、4の駐在員事務所を置いている。
今後、台新新光金控の資金規模が大きくなれば、海外支店をさらに開設し、子会社の形で拠点を拡大する可能性も排除しないと呉氏は明かす。
台湾の国内総生産(GDP)に占める金融業の割合はわずか約6%に過ぎない。香港やシンガポールは、GDPに金融業が占める割合は台湾よりはるかに高く、両者ともに世界の銀行トップ100入りしている銀行を有する。一方、トップ100に台湾の銀行は一つも入っていない。呉氏は「この国の銀行は世界トップ100入りすることを目指す必要がある」と話す。
台新新光金控が台湾で初めて世界トップ100入りを果たす金融機関になることを期待するかと問うと、呉氏は「最初(の金融機関)になりたいとは恐れ多くて言えない」と謙虚さを見せつつ、「将来的に入れるよう努力していく」と先を見据えた。