(台北中央社)作家の吉本ばななさんが6日、台北市内で開催中の本の見本市「台北国際ブックフェア」(台北国際書展)で、小説「吹上奇譚」の台湾での刊行を記念したトークイベントに出席した。「東京では急にいろいろなことが失われている」とした上で「台湾にはまだ心がある生活があるように思う」と神妙な顔つきで語り、「その気持ちを味わいにまた(台湾に)戻って来る」と再訪を誓った。
代表作「キッチン」にトランスジェンダーの人物が登場するなど、作品中で性の多様性に関心を寄せてきた吉本さん。性の多様性について「子供を育てて確信した。人間はおなかにいる時から性格が決まっていて変わらない」とし、「いちばん大切なのは自分が持って生まれたものが何だったのかを思い出すこと。社会によって歪められた自分の本当の魂の声を取り戻すことが人生」だとの考えを示した。
また、自分の魂の声を取り戻す過程で自分が同性を好きだったり、男性または女性の服装をするのが好きだったりということに気付いたら「勇気を持って進むべき」と鼓舞。続けて、社会はその社会にとって都合が悪い存在を排除しようとするものだとし「せめて私が書くものは排除されるような人を力づけるものでありたい」と語った。