(東京中央社)石川県珠洲市で23日開幕した「奥能登国際芸術祭2023」に、台湾から現代アーティスト集団、ラグジュアリー・ロジコ(豪華朗機工)が参加している。珠洲の家屋でよく見られる瓦を素材に作品を制作した。過疎化が進む同地域で「この地を離れた人々が再び戻ってくるように」との願いが込められている。
同芸術祭は同市全域を会場に3年に1度開かれており、今年で3回目。同市は今年5月に発生した地震で震度6強の激しい揺れを観測し、被害を受けた。一時は芸術祭の中止も検討されが、復興を後押しする希望の光になればとの思いから、3週間延期での開催が決まった。
「家のささやき」と名付けられたラグジュアリー・ロジコの作品は、現地の屋根瓦520枚を用い、家を形作った。出品には台北駐日経済文化代表処台湾文化センターが協力した。
ラグジュアリー・ロジコは環境と社会問題に長年関心を寄せ、共同制作または記憶を集める形で作品を作り上げている。23日に開かれた開幕式に出席したメンバーは、今回も共同制作の形で地域と一緒に作品を完成させたと紹介。同市を訪れた際に人がおらずがらんとしているものの魅力的な街の姿を目にしたのをきっかけに、地域の産業と人口減少の問題をコンセプトに組み入れようと決めたと作品の背景を説明した。使用した瓦は地域住民の予備瓦や廃棄瓦。芸術祭主催者の協力を得て集めた。この作品のために人々が再び記憶を集めて「家」を作ることで、地域に新たな希望や新たなシンボルをもたらせればと期待を寄せた。
同芸術祭は11月12日まで。「家のささやき」は鉢ヶ崎海岸で展示されている。