(東京中央社)台北駐日経済文化代表処の李逸洋(りいつよう)代表(大使に相当)は15日までに中央社の単独インタビューに応じた。地域の地政学的不確実性が増す中で、台日の友好感情や経済・貿易の補完性の重要性は今後高まる一方だと強調した。
高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を背景に、中国が先月、日本産水産物の輸入を停止したことを受け、台湾では頼清徳(らいせいとく)総統が日本産水産物を食べる様子をSNSに投稿した他、李氏も購入による支援を呼びかけた。
李氏は、2021年に中国が台湾産パイナップルの輸入を停止した際や、新型コロナウイルス流行時に台湾がワクチン調達で困難に直面した時、日本から支援されたことを挙げた。また自然災害が起きた時には台日は互いに手を差し伸べ合い、非常に深い友情を築いてきたと述べ、これが今回、頼総統の呼びかけの下で国民が日本産水産物を力強く支持している理由だと語った。
日本を訪れる中国人客の減少に関連し、李氏は、昨年の国別訪日客数で台湾は3番目に多く、今年の訪日者数は660万人を超える見通しだと説明。昨年の台湾人の日本での旅行消費額は約1兆1千億円で、訪日客数でトップだった韓国を上回ったとし、台湾人観光客の購買力の高さを示していると述べた。
李氏はまた、日本が中国とのつながりから脱却し、産業のアップグレードを図るのであれば、台湾との協力が最も信頼性があり、戦略的価値を有する選択肢だと言及。半導体やドローン(無人機)などの分野で台日は高度な相互補完性を有しているとした上で、今はまさに中国に依存しない供給網「非レッドサプライチェーン」を共同で構築し、次の経済成長の波を迎える最高の機会だと強調した。