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花蓮洪水/洪水被害の花蓮県光復郷に多くのボランティア 心温まるエピソードも/台湾

2025/09/29 16:54
光復駅で列車を降りた人々=2025年9月28日撮影、読者提供
光復駅で列車を降りた人々=2025年9月28日撮影、読者提供

東部・花蓮県でせき止め湖から水があふれて発生した洪水被害では、下流にある光復郷の市街地に大量の泥水が流れ込み、道路や建物の中に泥が残って生活再建の妨げとなっている。29日までに数万人のボランティアが現地を訪れ、泥かきなどの作業に当たっている。

SNSには現地の様子を伝える投稿が寄せられており、中には心温まるエピソードもある。ここではその一部を紹介する。

駅前でちまきを配るおばあさん

ボランティアの多くは、列車で光復郷まで向かう。台湾鉄路(台鉄)の光復駅前には、ボランティアらに肉入りちまきを配るおばあさんの姿があった。投稿者は、最初は断ったものの、おばあさんの気持ちを受け取るべきだと考えて、引き返してちまきをもらったという。「皆さんも見かけたらおばあさんの気持ちを受け取りましょう。早く配り終え、家に帰って休んでもらえれば」と呼びかけた。

長靴を洗うスーパーマン

シャベルを持参する人が目立つことから、光復郷を訪れるボランティアにはいつしか「シャベル・スーパーマン」(鏟子超人)の呼び名が付いた。一方、ブラシやホースを準備して、作業を終えて帰路につく人の長靴を洗う人の姿もあった。投稿者はシャベル・スーパーマンの長靴を洗う人もまたスーパーマンだとつづった。

炊き出しを行う人々

被災者やボランティアのために炊き出しを行う調理場には、休むことなく食材を切り続ける人の姿があった。

冗談を交えて謝礼を拒むボランティア

あるボランティアは被災者から謝礼を渡されそうになり、「もしお金をくれるなら、掘った泥をまた埋め戻すよ」と冗談を交えて断っていた。

台湾鉄路もボランティアに敬意

台鉄は列車の増発や、特急列車(自強号)を全て光復駅に臨時停車させるなどして、輸送面で協力している。また光復駅では改札を開放し、切符の購入の代わりに乗車証明書を配布する形式に切り替えた。これによりボランティアはスムーズに列車に乗れるようになった。証明書には感謝の言葉や「台鉄は光復の再建に寄り添います」などの言葉が印字されていた。

観光列車「山嵐号」の車内からは、乗務員がボランティアに向けてサムズアップをしたり、スマートフォンのアプリで「ありがとう。あなたがいてくれてよかった」とのメッセージを見せたりしていた。

看護師や理学療法士、自らの専門性を発揮

南部・高雄市の理学療法士は、仲間と共に光復郷を訪問して復旧支援に参加すると投稿。筋肉痛や肩こり、腰痛などに見舞われた場合は、処置をするので気軽に声をかけてと呼びかけた。

看護師や看護学生によるグループは「けがをしたら声をかけて」と書かれた紙をリュックに貼り付け、衛生用品を持参して支援活動に参加するとSNSで告知。一緒に清掃に取り組みながら、看護の力も発揮したいとつづった。

ねぎらい合うボランティアたち

光復駅では列車の発車直前、ホームにいる人々がカウントダウンをしていた。編成が長く、速やかな乗車を呼びかける駅員の声がホームの端まで届かないことを懸念して沸きあがった声だという。ドアが閉まると、列車内外の人々が手を振り合っていた。

光復駅から花蓮駅方面に向かう列車では、途中駅で下車する人々に対して拍手が送られていた。

復旧への道のりは依然として長い。だが、これらの心温まるエピソードや、各地から集まったボランティアの私心のない尽力からは、台湾社会の最も強靭(きょうじん)で、最も善良な力を見ることができる。「シャベル・スーパーマン」たちの情熱はやがて、光復郷の泥をかき分け、希望へと導いてくれるだろう。

(編集:田中宏樹)

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