亜洲大学は2月5日、台中市で「未来の暮らしに向けたヒューマノイドロボティクスとソブリンAI国際シンポジウム」を開催し、国内外から研究者を招き、ロボット応用に関する研究成果を紹介した。シンポジウムを通じて、国際的な知見を取り入れ、台湾のスマートテクノロジー・エコシステムに新たな活力を注入することを目指している。
シンポジウムは同大構内の現代美術館で行われ、国内外の学術関係者や産業界の代表が参加した。ヒューマノイドロボット(人型ロボット)を研究開発段階から実社会へと展開するために必要な技術、ガバナンスの在り方、信頼性の確立などについて議論が行われた。
亜洲大学の蔡進発(Jeffrey J.P. Tsai)学長はあいさつで、ヒューマノイドロボットが医療、製造、生活サービスの分野で重要な役割を担いつつあると指摘。その一方で、開発は機械設計工学やアルゴリズムの高度化にとどまらず、データセキュリティー、システムのレジリエンス(強靭性)、人とロボットの信頼関係、社会的受容性といった課題への対応が不可欠だと強調した。同大はシンポジウムを交流プラットフォームとして、学界と産業界のパートナーと共に実用化に向けた道筋を探り、台湾のスマート技術力強化につなげたいとしている。
米スタンフォード大学ロボティクスセンター長のウサマ・カティブ教授が「人とロボットが協働する未来を切り開く」をテーマに基調講演を行った。カティブ氏は、人とロボットの協働のコアバリューは、深海や災害現場などリスクが高いまたは人が立ち入れない環境でも人間の経験や直感、判断力を生かせるところにあると述べた。
カティブ氏は、スタンフォード大が開発した深海ロボットを例に挙げ、触覚フィードバックや三次元視覚インターフェースを通じて、人間の専門家がリアルタイムでロボットと協力し、極端な深度で探査や介入の任務を果たすことができると説明した。こうした技術は、地域医療、遠隔保守、極限環境での救助活動などへの応用も期待されているという。
シンポジウムでは「ロボット技術協力と展示」も行われ、中国医薬大学附属病院とエバーボット・テクノロジー(Everbot Technology、長聯科技)が共同開発した看護支援ロボット「エアボット(Eirbot)」が披露された。同社のプロジェクトマネジャー、周穎氏は、音声対話、画像認識、動作誘導などの機能を統合したエアボットが院内案内や健康教育、標準化可能なケア支援などを担うと説明。現場のルーティンワークを分担する「臨床パートナー」として患者体験と看護業務効率の向上を目指すとしている。
亜洲大学AI・量子研究センターの黄光彩主任は、ヒューマノイドロボットが医療、製造、生活サービスの分野における信頼できるパートナーになるには、ハードウエアの動作能力や感覚統合の高度化に加え、データガバナンス、システムセキュリティー、拡張性のある展開基盤、分野横断的な統合能力を同時に強化する必要があると指摘した。多様な現場で安定的に導入・運用するための基盤整備が、今後の鍵になるとしている。