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シベリア抑留経験の台湾人元日本兵 記録映画監督が歴史伝える

シベリア抑留の生活状況を再現した舞鶴引揚記念館(京都府)の展示=中央社記者呉書緯撮影
シベリア抑留の生活状況を再現した舞鶴引揚記念館(京都府)の展示=中央社記者呉書緯撮影

(台北中央社)第2次世界大戦後にシベリアで抑留された台湾人元日本兵を題材にしたドキュメンタリー作品「氷封的記憶」を手掛けた許明淳監督が、巡回上映会や特別講座などを開いて、台湾でもあまり知られていない時代に翻弄(ほんろう)された台湾人元日本兵の歴史を伝える取り組みを続けている。許監督は、台湾が置かれている状況や将来に関する世代を超えた対話をしてもらい、国家の在り方やアイデンティティーを探りながら、より多くの共通認識を形成してほしいと願いを語っている。

作品は許監督が史料を精査し、台湾、日本、ロシアを訪れて関連遺構や台湾人元日本兵とその家族らを取材するなど、約3年かけて制作した。第2次大戦で従軍した台湾人は約20万人いるとされ、うちシベリア抑留を経験した人は少なくとも19人いたことが分かっている。

抑留を経験した台湾人元日本兵は、台湾に戻った後、当時の中華民国政府から「潜在的な共産党のスパイ」と見なされ、その多くが自身の経験を語らず、沈黙を強いられた。それだけでなく、共産党やロシアに批判的な教育を受けた子世代との間に認識の隔たりが生じたとされている。

許監督は、上映会や特別講座を開くことについて、作品をきっかけに対話の機会を作りたいからだと話す。作品に登場した台湾人元日本兵はいずれも自ら志願して従軍したが、捕虜となったことで、人生が大きく変えられてしまった一方、中国による戦争の脅威に直面する現在の台湾では、中国を「敵」と見なすかどうかの時点でさまざまな意見があると指摘する。

作品では、シベリア抑留を経験した陳以文さんの経験をまとめた書籍「零下六十八度」を出版した台湾史研究家の陳力航さんが歴史顧問を務めた。力航さんは以文さんの孫で、実際に自身と父親、以文さんとの間にも認識の隔たりがあったと話す。

作品を通じた対話の機会について、別の世代とのつながりや別の世代の人々がどのように戦争の記憶と向き合ったかを知ることができるとし、世代間の理解に寄与するとの見方を示している。

(呉書緯/編集:齊藤啓介)

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台湾人元日本兵を題材にしたドキュメンタリー「氷封的記憶」を手掛けた許明淳監督=多面向影像工作室提供
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