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木原前防衛相、半導体の日台協力は「中国への抑止力に」 東京でシンポジウム/台湾

2025/10/15 18:15
シンポジウム「半導体同盟」で基調講演を行う木原稔前防衛相=10月14日、東京都
シンポジウム「半導体同盟」で基調講演を行う木原稔前防衛相=10月14日、東京都

(東京中央社)木原稔前防衛相は14日、東京都内で開かれた半導体分野での日台の協力をテーマにしたシンポジウムで基調講演を行い、中国に対する抑止力を構築する上で、日台が協力を強化するべきだとの考えを示した。

シンポジウムはジャーナリストの桜井よしこ氏が理事長を務める国家基本問題研究所の主催で、台北市に本部を置くインド太平洋戦略シンクタンクが共催した。王美花(おうびか)元経済部長(経済相)も基調講演を行った。

木原氏は、経済安全保障の観点から、国家や国民に不可欠な物資を国内で確保する「戦略的自律性」が求められるようになったと説明した上で、「半導体の戦略的自律性を高めなければ日本の未来はないと言っても過言ではない」と述べた。

台湾は日本にとって重要なパートナーであり、大切な友人だと言及。地政学的観点からは日本の生命線であるシーレーン(海上交通路)の要衝に位置していると指摘し、エネルギーや食糧を日本に届ける航路の安定は台湾の安全と不可分であるため、台湾有事が日本有事に直結する可能性があると語った。

一方、経済安保の観点から見ると、台湾は世界の半導体供給の中心であり、もし半導体の供給が途絶えれば日本経済に深刻な打撃となり、経済だけでなく安全保障に直結する問題だと強調した。

最後に、半導体関連で日本の経済安保や国家安保を確保する上で重要なことが三つあるとし、①半導体が日本の経済と安全保障の将来にとって極めて重要であると、官民全ての関係者が認識すること②中国への抑止力構築のために「半導体の王者」である台湾や、欧米諸国との連携をこれまで以上に深めること③半導体の小型化・高性能化は電子製品の進化と密接に関連しているため、産業全体で斬新なアイデアを育てること─を挙げた。

王氏は、トランプ米政権が日台の企業に対して米国での投資拡大を求めたことは、後戻りできない流れになっていると指摘。台湾の主要な電子関連企業が米国で生産拠点を増加させており、日本の自動車・電機関連メーカーと協力できれば双方の発展につながると述べた。

半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が米国での生産を拡大することが日台の協力を弱めるとの懸念の声があるとしつつも、台湾の政府、企業いずれの立場から見ても、日本との協力を深めることが正しい方向性だとの認識を示した。短期的には需給変動で小さな影響が出る可能性はあるが、長期的な戦略は影響を受けないと語った。

(戴雅真/編集:田中宏樹)

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