(台北中央社)最大野党・国民党の党主席(党首)選挙が18日に実施されるのを前に、動画投稿サイト「ユーチューブ」で関連動画を拡散しているアカウントの半数以上が域外の位置情報を有していることが分かった。情報機関、国家安全局の蔡明彦局長が15日、立法院(国会)外交・国防委員会に出席する際に報道陣に明らかにした。蔡氏は法制度の不備を指摘し、関連法改正に向けたさらなる議論を与野党に呼びかけた。
党首選に立候補している郝龍斌(かくりゅうひん)元台北市長を支持する趙少康(ちょうしょうこう)元立法委員(国会議員)が13日、動画投稿アプリ「TikTok」(ティックトック)やユーチューブに投稿されている動画の内容が特定の候補者への支持に偏っている上に、選挙戦直前にアカウントが開設されていたと指摘し、国家安全部門に調査を呼びかけていた。
蔡氏は、当事者からの告訴を受け、警察がすでに調査に乗り出していると説明。国家安全局が世論への域外勢力の介入や関連動画の拡散について調べたところ、TikTok上に国民党党首選の状況を議論する動画が1000本余り投稿され、ユーチューブでも23のアカウントが200本余りの関連動画を拡散していることが分かったと明らかにした。
これらの動画がどの候補者を支持しているかについては、選挙への影響を理由に公表を控える姿勢を示した上で、ユーチューブの23のアカウントの半数以上が域外のものであると説明した。アカウントが中国大陸のものかどうか質問されると、「域内のものではない」とのみ答えた。
その上で、国家安全法や反浸透法には、国内の団体や政党内部の選挙への域外勢力の介入を規制する条文がないため、調査の過程では法整備上の問題に直面したとし、国安法制の強化に向け、行政院(内閣)では部会(省庁)をまたいだ会議を複数回開いて協議していると説明した。