(台北中央社)翻訳書を対象にした英国の文学賞「国際ブッカー賞」を受賞した台湾の作家、楊双子さんの小説「台湾漫遊録」のドラマ化が、台日共同で進められている。台湾側のプロデューサー、張辰漁さんは22日、さまざまな形の「台湾漫遊録」で、より多くの人を感動させたいと期待を寄せた。
物語の舞台は日本統治下の1938(昭和13)年の台湾。日本人作家と台湾人通訳が鉄道旅行を通じて仲を深めていくというストーリーで、植民地における統治する側とされる側の関係についても描いている。国際ブッカー賞を受賞したのは英訳版の「Taiwan Travelogue」(金翎さん訳)。
同作のドラマ化企画は昨年、台湾で開かれる国際コンテンツマーケット「TCCF 台湾クリエーティブコンテンツフェスタ」のピッチング(ドラマ部門)で入選した。日本側のプロデューサーは前畑祥子さん、脚本はNHKの連続テレビ小説「虎に翼」などを手がけた吉田恵里香さんが担当する。
張さんはフェイスブックで同作について、「物語の中の2人(日本人作家と台湾人通訳)の関係は単なるロマンチックな相互理解ではなく、統治する側とされる側のミクロな縮図」だとの見方を示す。「絶え間ない相互翻訳と誤訳の中で、階級と性別の間で生まれる葛藤を細やかに、真実味をもって描き出した」とつづった。
同作のドラマ化に当たっては、当時、テキスト自体に国際性を備えた潜在力があり、さらに台湾を主体とした題材を探していたことから、同僚や日本側のパートナーから同作を強く勧められ、読み終わるとすぐにドラマ化の権利を獲得しようと決めたという。
張さんは、物語の設定や多言語環境のニーズを考慮し、将来的にはこの物語に共感する世界各地のパートナーと協力したいと明かした。
台湾で「台湾漫遊録」を出版する春山出版によれば、ドラマは現在は脚本開発の段階。ドラマ化の他にも、ミュージカルや漫画化の計画も進められている。漫画版は台湾の漫画賞「ゴールデン・コミック・アワード」(金漫奨)の受賞歴がある漫画家の星期一回収日さんが手がけ、早ければ年末にも連載がスタートする見通し。ミュージカルは有名音楽家のオーウェン・ワン(王希文)さんがプロデュースし、来年下半期の上演を予定しているという。