新北市平渓で行われた「天灯祭り」に合わせて2月27日、国内外の記者らを集めたメディアツアーが開催され、本編集部も参加してきた。
天灯(ランタン)飛ばしは平渓で約200年続く旧暦1月15日の元宵節に行われる風習。山間部の平渓や十分などの地域では以前、開拓を進めようとする住民が殺害やひったくりにあう被害が相次いでおり、安否の目印として天灯が使われ始めたことが、この風習の起源だとされている。
同イベントは米CNNの「最も参加する価値のある世界のイベント52」や旅行ガイド出版社Fodor’sの「一生の間に行っておきたい世界14大イベント」に選ばれており、台湾だけでなく海外からも注目を浴びている。
この日、11時から天灯飛ばしイベント参加の申し込みが開始されたが、筆者が到着した午後2時過ぎにはすでに1600の定員がすべて埋まっていた。
会場となった平渓中学も開始の数時間前から場所取りをする人などの姿で溢れていた。
この日のメインランタンである「熱気球天灯」は、国宝級の天灯職人とされる胡民樹さん(63)とその娘で「平渓で最も美しい天燈師」との呼び名を持つ胡依凡さん(25)が手掛けたもので、約2週間、毎日夜に4~5時間をかけて製作された。
胡さんは職人歴55年のベテランで、8歳から天灯作りを始めたと話す。過去の同イベントに登場したメインランタンはすべて胡さんが担当しているという。
平渓ではイベント開催時以外でも、町中で天灯飛ばしを体験できる。この日もいたるところで友人連れやカップルなどが願いを描いた天灯を打ち上げる姿が見られた。
また、天灯だけでなく、古い町並みが残る「平渓老街」をぶらぶら歩いてみるのも面白い。
平渓老街で有名なのは、狭い十字路に立つ2軒のソーセージ店。この日も長蛇の列ができ、小道は通るのが困難なほどになっていた。
もう1軒、大行列ができていたのは、肉まんの上にチーズがかかった「起司肉包」を売る店。店頭では肉まんがほかほかに蒸されており、チーズの香りが漂っていた。
その他にも、臭豆腐や豆花を売るお店などが立ち並んでいる。
天灯飛ばしのイベントは200個ずつ、8回に分けて行われた。1組4人まで一緒に上げることができ、参加者は親子連れや友達同士で願いを楽しそうに天灯に書き込んでいた。
スタッフによって燃料に火が灯された天灯が飛んでいかないように上部を掴んでいると、かなりの熱さを感じた。足で下部の枠組を踏みつけ、中の空気を膨らませていく。
200個の天灯が一斉に夜空へ。一個ずつ上げても美しいが、やはり多くがまとまって空を舞う様子は圧巻。
かなりの数の来場客であふれる会場。これほど多くの人が足を運びたくなるのも納得の美しさだった。