(台北中央社)卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は30日、主に南部・台南市に暮らす先住民族のシラヤ族について、台湾原住民(先住民)族であると承認し、発表した。政府が承認する台湾原住民族はこれで17族となった。
台湾原住民族は政府の承認を受けた先住民族の総称。未承認の先住民族は「平埔族」と呼ばれ、一部の人々が長年にわたり、政府に公認を求めていた。
2022年には、憲法裁判所に当たる司法院憲法法廷が、台湾原住民族を定義する「原住民身分法」は平埔族を含んでいないとした上で、平埔族が国の保障を受けられないことは違憲だと判断。これを受け、立法院(国会)は昨年10月、「山地原住民」と「平地原住民」以外に、オーストロネシア語族に属する台湾の先住民族で、独自の言語や風習、伝統などの文化的特徴を持ち、民族アイデンティティーを保持する人々を「平埔原住民」と定義し、台湾原住民族とする「平埔原住民族群身分法」を第3読会で可決した。
同法では、平埔原住民として身分登録を行う場合、各民族が原住民族委員会(原民委)に民族認定を申請し、審議委員会での審査を経て行政院(内閣)の承認を受けた後、個人が戸政事務所(戸籍業務を担当する事務所)で身分登録を行うことと定めている。今回、シラヤ族の申請が承認されたことで、行政院が初めて承認した平埔原住民になるとともに、17番目の台湾原住民族となった。
行政院の李慧芝(りけいし)報道官によれば卓院長は、8月1日が原住民族の日であることに触れ、今回の承認について、民族の集団的権利を確認しただけでなく、歴史的正義や多様な文化、憲法保障の精神を具体的に実践するものだと強調。シラヤ族の人々は台湾原住民の身分を取得できるだけでなく、民族の構成員を自ら決定できるようになり、先住民族の権利に関する国連宣言が掲げる民族自決の精神にも合致すると述べた。
また原民委に対し、シラヤ族承認を速やかに公告するとともに、身分登録や関連措置、周知活動について、内政部(内務省)や各県・市政府などと積極的に連携して進めるよう指示した。
さらに、カハブ族やパゼッヘ族、タオカス族、タイボアン族、パポラ族、マカット族、バブザ族、ケタガラン族が「平埔原住民」の承認を目指しているとし、原民委に審議するよう求めた他、関連部会(省庁)も権利保障措置への協力を要請した。
卓院長は同日午前、シラヤ族承認の関連イベントに出席し、来年度は一般会計、基金ともに原住民族関連予算を増やし、原民委がより多くの政策を打ち出し、生活や就業、就学、家庭などの面で全ての原住民族を支援できるようにすると語った。
一方、行政院院会(閣議)後の記者会見で原民委総合企画処の曽興中処長は、「平埔原住民」の身分を取得しても、原住民に関する現行法の規定が直ちに適用されるわけではないと指摘。憲法法廷の判決や平埔原住民族群身分法第23条に基づき、政府は3年以内に法制度を整備する必要があるとし、年末までに初期計画案をまとめるとした。
専門家の試算では、初年度にシラヤ族の身分登録を行う人は約5万人と見込まれている。原民委は、各県・市政府との協議を行い、必要な準備を進めていると説明。認定要件を満たす人は今年8月中旬以降、県・市政府でシラヤ族の構成員名簿への登録を申請し、その後戸政事務所で平埔原住民としての身分登録が行えるようになるとしている。