(台北中央社)西村康稔元経済産業相は訪台3日目の5日、台北市内で中央社の単独インタビューに応じた。トランプ米大統領による関税政策を念頭に、日本、台湾、米国の三者の連携を強化していくことの重要性をトランプ氏に理解してもらう必要があり、このために日台の当局同士が情報共有や連携を行うのが大切だとの考えを示した。
訪台の目的について、新型コロナ担当相時代に台湾からマスクや医療機器の提供があったことや、経産相時代に半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場誘致などに取り組んだことを挙げ、これらへの感謝の意を込めて訪問したと説明。安倍晋三元首相への思いを共にするメンバーと訪台し、南部・高雄市にある安倍氏の銅像が立つ廟(びょう)の訪問や、要人との意見交換も行ったと語った。
日台米の半導体協力に関する質問に対しては、TSMCの熊本工場や米アリゾナ工場で日本の製造装置や材料が使われているとし、三者による最先端半導体のサプライチェーン(供給網)が形成され、強靱(きょうじん)になっていると言及。これが「新しい世界を切り開いていく基礎になっていく」とした上で、三者の連携強化の重要性や、技術の軍事転用を考えている国と向き合う必要がある点をトランプ氏に理解してもらいたいと話した。
半導体以外の分野における日台の協力については、生成AI(人工知能)が国や地域の力を決める存在になる中で、電力の使用量が急激に増える可能性があるため、エネルギー分野や生成AI関連の人材育成での協力が可能だとの見方を示した。
インド、カンボジアに続けて台湾を訪問した西村氏。長旅の疲れを癒やそうと足裏マッサージ店に行った際には、居合わせた日本人観光客と記念撮影に応じたと明かした。また南部・台南で食べたおこわやパイナップル、ドラゴンフルーツがおいしかったとしつつ、台湾をたびたび訪れる自身の娘たちに薦められたアイスクリームや豆乳は試せなかったため、家族で台湾に来る際には訪れてみたいと話した。
(楊堯茹、田中宏樹)