(台北中央社)北部・台北市で23日、総統直接選挙実施30周年と李登輝(りとうき)元総統を記念するシンポジウムが開かれた。国史館の陳儀深館長は、台湾は依然、中国からの圧力や民主主義運営の挑戦に直面しているとした上で、1996年の台湾海峡危機の経験を改めて検証し、今日の参考にすべきだとの認識を示した。
シンポジウムは国史館と李登輝基金会が共催した。陳館長は、近頃は総統直接選挙実施30周年への関心が高まっていると指摘。総統府が関連の展示を行っている他、多くのメディアも特集を組んでいるとし、その背景には今年が歴史的な節目であるだけでなく、台湾を取り巻く国際情勢が30年前と似ており、今もなお、中国の圧力を受け、国内でも民主主義運営に課題が生じていることがあると述べた。
その上で、総統直接選挙制度の形成や憲法改正の過程、約30年にわたる民主主義実践の経験をより深く見直す必要があると強調。台湾海峡危機時の中国のミサイルによる威嚇、李政権の対応、米国による適時の介入といった歴史的経験を、現在の情勢の参考にすべきだと語った。
また李登輝基金会と共催したことについては、30年前の台湾の歴史における重大な出来事が李政権時代(88~2000年)に多く発生しているからだと説明。米国のF16戦闘機売却や李氏の米コーネル大学訪問、米空母の台湾海峡派遣などを例に挙げ、関連の資料は順次デジタル化を進めているとし、データベースとして研究に役立てられていると語った。
李氏の次女で李登輝基金会の李安妮董事長(会長)は、李氏の歩みと歴史を見直し、整理する中で、父親について知っているようで知らなかったと感じたと吐露。研究者による分析を通じ、より深い側面が明らかとなり、台湾の過去について多面的に考えられるようになったと語った。
さらに、30年という歳月は一つの世代の形成と制度の成熟を象徴するものだと説明。30年の努力で民主主義は確立され、運営されたが、今後の30年は、情報流動の加速や意見の分断が進む中で、いかにこの制度を社会から信頼され、活用され続けるようにするかが重要だと述べた。