(屏東中央社)20世紀初頭に海外に持ち出され、現在はスウェーデンの世界文化博物館が所蔵する台湾原住民(先住民)族パイワン族に関する文物48点を集めた特別展が1日、南部・屏東県獅子郷の文物陳列館で始まった。獅子郷の朱宏恩郷長は、展示品を通じて集落の若者たちに伝統的な技術を取り戻してほしいと語った。
獅子郷によると、これらの文物は日本統治時代の「台湾有用植物調査」に関連し、植物学者の川上滝弥や助手の中原源治が山林で植物採集を行った際、原住民集落から持ち帰ったものとされる。展示では採集ルートごとに、礼服や装飾具、日用品、儀式用の道具などを紹介しているという。
開幕式では原住民族の人々とスウェーデン側の関係者が手を取り合って踊りを披露し、集落の若者が祝砲4発を放った。
朱郷長は報道陣の取材に、ようやく集落の人々に約100年前の文物を見てもらえ、伝統的な技術を知ってもらえると喜びを示した。今後スウェーデンでも展示が行われることに期待を寄せ、外国人にも南パイワン族の美しさを知ってほしいと語った。
また調査に参加した内獅村集落会議の山宏緯主席は、かつての人々の手工芸技術は非常に精緻だと説明。機械に頼らず自らの手で技法を身に付けてこそ、文化は受け継がれると述べた。
世界文化博物館の学芸員はあいさつで、展示は単に物品だけでなく、和解にも関わるものだと語った。また欧州の博物館は現在変革の途上にあるとした上で、今回のような協力は博物館の発展に資するだけでなく、脱植民地主義の手法を通じて、所蔵品にまつわる植民地支配の歴史を理解し、是正する試みでもあるとし、展示が対話の再開であり、理解の増進と遺産の共同管理の始まりであることを望むと述べた。
展示は来年3月31日まで。日本人が頭目に渡したとされる竹製の扇子や数年かけて織られたとみられる織物、現在では珍しいとされるパイワン族の大きな耳飾りなどが紹介されている。