(台北中央社)台湾東部の海域に進入してグレーゾーン活動を行う中国の公船が増加傾向にある。中国側は、6月に日本とフィリピンが海洋境界の画定に向けた交渉の開始を発表したことへの対抗措置として実施する法執行パトロールだと主張しているが、海洋委員会海巡署(海上保安庁に相当)の職員は、中国が法執行を装いつつ、実際には管轄権の拡大を狙っていると指摘する。
海巡署職員によれば、台湾海峡の暗黙のライン「中間線」より台湾側で活動が確認された中国公船の数は、5月に延べ30隻だったのが、6月には同55隻に増加した。海警船や研究船が最も多かった。
グレーゾーン活動の具体例としては、6月9日に海警船が彭佳嶼(北部・基隆市の離島)の東40カイリ(約74キロ)の海域で、航行中の商業貨物船3隻に対し、入出港に関する情報などを無線で問い合わせた事例の他、7月4日には、海警船が花蓮港(東部・花蓮県)の東54カイリ(約100キロ)、中国船の無許可での進入を禁じる制限水域から27カイリ(約50キロ)の地点を外洋へ向けて航行した事例があった。
この職員はまた、中国は科学研究や海洋調査を名目として海域データの収集も行っているとした上で、調査船の中には、海巡署が無線でその場を離れるよう警告すると「外国を頼って独立を図ることは、死にゆくのみだ」と返答したケースもあったと明らかにした。
台湾東部海域での商船の航行を巡っては、中国船はこれまでのところ商船への乗船検査は実施していないものの、心理的圧力を与え、航路変更を検討させることで航行秩序に影響を及ぼす可能性があると指摘。中国が管轄権を有しているとの印象を作り出すことで認知戦を展開しているとの見方を示した。
▽軍用機の活動は減少 国際社会の圧力が影響か 異なる見方も
海上での活動が増える一方で、台湾周辺の空域で活動が確認される中国の軍用機の数は一時期より減少した。これについて両岸(台湾と中国)関係を担当する政府当局者は、一時期の海空での活動によって、国際社会から強い関心が寄せられ、警告サインが出されたことで、中国共産党も圧力を感じたと分析。中国は「統一せずとも実質的に統一し、統一前に先にその状態を作り出す」効果を狙って台湾海峡での活動の仕方を変更したとの見方を示した。
一方で安全保障の政府当局者は、中国域内での人民解放軍空軍の訓練は引き続き実施されているとした上で、台湾方面への飛行が減少している理由についてはさまざまな見方があると話した。