(台北中央社)外交部(外務省)は29日、中国人民解放軍が台湾周辺で軍事演習を始めると発表したことを受けて報道資料を発表した。中国がルールを基礎とする国際秩序に対し再び挑戦を仕掛け、台湾海峡と地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊しているとした上で、中国に対し、理由なき軍事的挑発行為を直ちにやめるよう呼びかけた。
軍事演習は、中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区が29日に実施を発表。演習区域は台湾を包囲するように設定されている。30日には台湾を取り囲む海域と空域で重要な軍事演習を実施し、実弾射撃演習も行うとしている。
外交部は中国に対し「厳正に非難する」と表明。台湾は国際社会およびインド太平洋地域の責任ある一員として、理念が近い国々と引き続き協力し、世界や地域の平和と安定、繁栄、発展を共同で守っていくとした。
また、台湾で対中政策を担当する大陸委員会は同日、報道資料を通じ、「台北上海都市フォーラム」の閉幕直後に実施が発表されたことに対し、巧みに練られた「両手策略」(ハードとソフトを交えた戦略)であることは明白だとの見方を示した。
フォーラムは台北市と上海市の交流行事で、上海で27~28日に行われた。28日には蒋万安(しょうばんあん)台北市長が龔正上海市長と会談した。
大陸委員会は、中国共産党は親交の深化を訴えつつ、一方では武力による威嚇を行っていると指摘。「両岸(台湾と中国)は一つの家族」と言いながら台湾に剣を突き付けているとし、これは「台湾の人々が中国共産党に幻想を抱いてはいけないことを改めて証明した」と述べた。
▽ 国防部、国軍の訓練の様子を公開 士気下げる「認知戦」に対抗
国防部(国防省)は同日、フェイスブックやインスタグラムなどで国軍の訓練の様子などをまとめた動画を公開した。台湾の人々の士気に影響を及ぼす「認知戦」に対抗する狙いがある。
同部は動画内で、安全は幻想に託せるものではなく、ましてや他人の決定に委ねてはならないと言及。台湾は民主主義のパートナーと共に歩み、地域や国家の安定と安全を永続的に守ると強調した。
