(台東中央社)東部・台東県の離島、蘭嶼に暮らす台湾原住民(先住民)族タオ族が16日夕方、100キロ以上離れたフィリピン北部バタン諸島のバタン島に伝統的な木造船「チヌリクラン」で到着した。港に集まった300人余りのバタン島民から熱い歓迎を受けた。
今回の挑戦は、約300年前の航海を再現するプロジェクトの一環で実施された。蘭嶼では、先祖が黒潮に乗ってバタン島から移り住んできたと信じられている。両島間ではかつて海上交易が行われるなど活発な交流があったとされ、現在でも互いの言語は約6割が通じるという。
船はくぎを一切使わずに木材を組み合わせる伝統的な手法で作られ、完成まで2年を要した。全長12メートルで、最大20人が力を合わせてこぎ進める。
船は15日、蘭嶼を出発した。航海に参加した原住民族文化事業基金会のマラオス董事長(会長)によれば、出発後間もなく、南西風の影響による高波で浸水。えい航が一時検討されたが、手こぎによる航行を続けた。
こぎ手の士気が高まり、スピードも上がったが、バシー海峡で再び高波に襲われた。波は4メートルに達し、船は8割が浸水。やむなくえい航に切り替えられた。
翌16日、バタン島のマハタオ港で船の排水、補強作業が行われた後、第2陣のこぎ手に交代し、入港手続きを完了させた。
現地では歓迎の夕食会が開かれた。出された料理の味や現地の言葉が蘭嶼とよく似ていたことから、タオ族の参加者は「蘭嶼とバタン島の人々の血はつながっている」という言い伝えを裏付けていると感激したという。
マラオス氏によると、同船はバタン島で今後半年間にわたって展示される。その後はバタン島の人々が同船をこいで蘭嶼に渡り、交流を行う予定だという。


