(東京中央社)東京都内で27日まで開催された東京国際合唱コンクールで、中国側から主催者に対し、「台湾」ではなく「チャイニーズタイペイ」の名義を使用するよう要求があったことが分かった。これを受け台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)は同日までに、中国が政治的介入によって音楽を汚し、台湾の人々の感情を傷つけたとして「厳正な非難」を表明した。
台湾からは5部門に8団体が参加。過去の大会で台湾の合唱団は「台湾」の名義で参加できていた。
フォルクロア(民族音楽)部門に出場したニーブーン合唱団の指揮者、陳俊志さんは26日、自身のフェイスブックで、コンクール会場に飾られている中華民国(台湾)の国旗を撤去し、名義をチャイニーズタイペイに変更する必要があるとコンクールの主催者から連絡が入ったと説明した。
駐日代表処は同日夜、合唱団に同行していた邱議瑩立法委員(国会議員)と共に、主催者側と交渉を実施。超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)会長の古屋圭司衆院議員も声を上げた。主催者側は最終的に、台湾の合唱団の名義をチャイニーズタイペイに変更した上で、全ての参加国の国旗を掲げない決定を下したという。
27日は、代表処の職員16人が応援と中国の妨害行為の防止のために会場を訪れた。また周学佑副代表が主催者と交渉した結果、司会者が団体紹介をする際に複数回にわたって「台湾」と言及するに至った。ニーブーン合唱団の演奏後には、客席から「台湾、台湾」の歓声も上がった。
代表処の李逸洋(りいつよう)代表(大使に相当)は、音楽は国境を越え、世界中の人々が共に楽しめる芸術であると言及。代表処は中国側の卑劣な行為を厳正に非難するとともに、主催者側が中国側の要求に一部屈したことにも深い遺憾の意を示したと説明した。
李氏はまた、国際大会に台湾代表として出場する人々が余計な負担を背負っているとし、これに対し全国民や海外の同胞が強い後ろ盾として支援を送り続けると述べた。