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<詳報>ジョセフ・チェンがデビュー21年で初受賞 社会派ドラマが最多7冠 電視金鐘奨

2024/11/04 19:12
台湾のテレビ番組の祭典「第59回ゴールデン・ベル・アワード」(電視金鐘奨)ドラマの部授賞式が10月19日に台北流行音楽センターで開かれた=中央社記者鄭清元撮影 2024年10月19日
台湾のテレビ番組の祭典「第59回ゴールデン・ベル・アワード」(電視金鐘奨)ドラマの部授賞式が10月19日に台北流行音楽センターで開かれた=中央社記者鄭清元撮影 2024年10月19日

台湾のテレビ業界で最も注目される祭典「ゴールデン・ベル・アワード」(電視金鐘奨)の第59回授賞式が10月18、19日の2日間、台北市の台北流行音楽センターで開かれた。昨年に続き、番組の部とドラマの部に分けて開催された授賞式。本記事では19日に行われたドラマの部の授賞式の主なトピックスを紹介する。

▽社会派ドラマ「八尺門的弁護人」が最多7冠

最多受賞を果たしたのは「八尺門的弁護人」。ミニドラマ作品賞、ミニドラマ主演男優賞、ミニドラマ脚本賞、ドラマ音響賞、ドラマ音楽賞、ドラマ番組革新賞に加え、視聴者投票の人気ドラマ賞を合わせて7冠に輝いた。

「鏡文學」Youtubeチャンネルより

北部・基隆で台湾原住民(先住民)族アミ族の遠洋漁業船船長一家3人がインドネシア籍乗組員に殺害された事件を巡り、船長の親戚でもある公設弁護人が代替役(徴兵の代わりの兵役)の法曹エリートと移民労働者のインドネシア人女性と共に事件の真相を探るという物語。移民労働者や死刑・司法制度、先住民、大企業と政治の癒着などの社会問題にも切り込んだ。

「八尺門」とは、カラフルな建物群によって現在は観光地になっている「正浜漁港」に近いエリアの地名。かつてはアミ族が集落を形成していたが、90年代に政府によって団地として改築された。同作の軸となる一家殺害事件はこの団地で発生する。

ミニドラマ主演男優賞を受賞し、受賞スピーチをするリー・ミンシュン(李銘順)=中央社記者鄭清元撮影 2024年10月19日
ミニドラマ主演男優賞を受賞し、受賞スピーチをするリー・ミンシュン(李銘順)=中央社記者鄭清元撮影 2024年10月19日

アミ族の公設弁護人を演じたのはリー・ミンシュン(李銘順)。マレーシア出身ながら、同作で流暢なアミ族語を披露し、視聴者を驚かせた。ミンシュンは同作でミニドラマ主演男優賞を受賞し、生涯4個目となる金鐘奨のトロフィーを手にした。

ミニドラマ主演男優賞には実の弟のフレデリック・リー(李銘忠)も「夜盲」でノミネートされており、ミンシュンは名前を呼ばれると、フレデリックにエスコートされながらステージに上がった。受賞スピーチでは冒頭で「Holly!媽祖」と公設弁護人の口癖を叫び、会場を沸かせた。

▽ジョセフ・チェンがデビューから21年にして初受賞

かつて台湾ドラマの代名詞とされた「アイドルドラマ」(偶像劇)で、台湾だけでなく日本や東南アジアで高い知名度を獲得したジョセフ・チェン(鄭元暢)。しばらく台湾ドラマからは遠ざかっていたが、昨年放送・配信された「生きている間」(有生之年)で連続ドラマ助演男優賞を受賞した。ジョセフの金鐘奨受賞はデビューから21年にして初。

「生きている間」で連続ドラマ助演男優賞を受賞し、トロフィーを高く掲げるジョセフ・チェン(鄭元暢)=中央社記者鄭清元撮影、 2024年10月19日
「生きている間」で連続ドラマ助演男優賞を受賞し、トロフィーを高く掲げるジョセフ・チェン(鄭元暢)=中央社記者鄭清元撮影、 2024年10月19日

「生きている間」は家族の関係を軸に、それぞれが自分の人生の課題に向き合う様を描いた作品。ジョセフは一家の大黒柱的な役割を担う責任感の強い三兄弟の次男を演じ、深みのある落ち着いた演技を披露した。ジョセフの他、キャストにはウー・カンレン(呉慷仁)やリン・ジャーシー(林哲熹)、ヤン・グイメイ(楊貴媚)、サンドリーヌ・ピンナ(張榕容)など豪華キャストが集結。俳優でもあるルビー・リン(林心如)のプロデュース作品で、シュー・ジャオレン(許肇任)とリン・チールー(林志儒)が監督を務めた。

授賞式前のレッドカーペットでは「実は今は緊張していない。初ノミネートだから参考にできる過去の経験がないけれど、発表される瞬間になったら緊張すると思う」と楽しそうに語っていたジョセフ。授賞式で名前が呼ばれると、感極まった表情を時折見せながらステージに上がり、同作の共演者や監督らに「皆さんのおかげで、また違う温度のジョセフ・チェンを視聴者に見てもらえた」と感謝を伝えた。

受賞後、プレスルームで写真撮影に応じるジョセフ・チェン=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
受賞後、プレスルームで写真撮影に応じるジョセフ・チェン=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日

プレスルームでの取材では、自身がアイドルドラマ全盛期にデビューし、そのおかげで国内外のたくさんの人に自分を知ってもらえたと語った上で、しかしそれが「見えない足かせになったかもしれない」と告白。「このドラマで審査員が私の変化を評価してくれたことをありがたく思う」と感慨深げに語った。

「生きている間」は連続ドラマ部門の俳優関連賞をほぼ総なめし、長男役のウー・カンレンが主演男優賞、母親役のヤン・グイメイが主演女優賞、ジョセフの息子役のシエ・ジャンロン(謝展栄)が新人賞を受賞した。この他、連続ドラマ作品賞と監督賞にも輝き、「八尺門~」に次ぐ6冠を制した。

Netflix Taiwan Youtubeチャンネルより

▽「イタキス」カップルがプレゼンターで登場

プレゼンターとして登場するジョセフ・チェン(右)とアリエル・リン=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日
プレゼンターとして登場するジョセフ・チェン(右)とアリエル・リン=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日

ジョセフはプレゼンターとしても登場。台湾で2000年代に大ヒットした「イタズラなKiss~悪作劇之吻~」で共演したアリエル・リン(林依晨)と共にステージに立った。同作のエンディング曲に使われたワン・ランイン(王藍茵)の「悪作劇」が流れる中、2人がステージに姿を見せると会場からは大きな歓声が上がった。

アリエルは「不夠善良的我們」で連続ドラマ主演女優賞にノミネートされ、レッドカーペットでは同作で相手役を演じたマイク・ハー(賀軍翔)と共に大トリとして登場した。

▽シェリル・ヤンが8度目のノミネートで初受賞

連続ドラマ助演女優賞には「一筆お祓いいたします」(不良執念清除師)のシェリル・ヤン(楊謹華)が選ばれた。金鐘奨常連のシェリルはこれまでに主演女優賞と助演女優賞で計7度もノミネートされていたものの、受賞歴はなし。8回目のノミネートにしてようやく念願のトロフィーを手にした。

「一筆お祓いいたします」で連続ドラマ助演女優賞に輝いたシェリル・ヤン(楊謹華)。受賞スピーチでは涙で何度も声をつまらせていた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日
「一筆お祓いいたします」で連続ドラマ助演女優賞に輝いたシェリル・ヤン(楊謹華)。受賞スピーチでは涙で何度も声をつまらせていた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日

涙を浮かべながらステージに立ったシェリル。「ステージから見えるのはこんな景色だったのですね」と感動をかみしめた。関係者に感謝を述べた後で「今でも信じられない。これはドラマの中なのですか」とつぶやき、こらえきれずに「ふえーん」と泣き声をもらすと、客席からは温かな拍手が上がった。

▽「不夠善良的我們」は4冠 アン・シューとクー・チェンドンが受賞

アリエル・リンとマイク・ハーが20年ぶりに共演し、「イタズラな恋愛白書」(我可能不会愛你)など数々の人気ドラマを世に送り出したシュー・ユーティン(徐誉庭)が監督・脚本を手掛けたことで話題を集めた恋愛ドラマ「不夠善良的我們」(IMPERFECT US)はミニドラマ主演女優賞、同助演男優賞、ドラマ部門スタイリングデザイン賞、歌曲賞の4冠に輝いた。

ミニドラマ主演女優賞には同作からアリエルとアン・シュー(許瑋甯)がダブルノミネートされていたが、アンが昨年の「ふたりの私」(她和她的她)に続き2年連続で受賞を果たした。アンはステージで夫で俳優のロイ・チウ(邱沢)に感謝。「彼がいなければ、こんなに仕事に専念することはできなかった」と語り、客席に向かって深々と頭を下げた。

ミニドラマ主演女優賞で名前を呼ばれたアン・シュー(左)は、同じく「不夠善良的我們」で同賞にノミネートされていたアリエル・リン(右)から祝福を受けた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日
ミニドラマ主演女優賞で名前を呼ばれたアン・シュー(左)は、同じく「不夠善良的我們」で同賞にノミネートされていたアリエル・リン(右)から祝福を受けた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日

ミニドラマ助演男優賞はクー・チェンドン(柯震東)が同作で受賞。チェンドンはデビュー13年にして初ノミネート、初受賞となった。アニメ「葬送のフリーレン」のキャラクター、フリーレンの熱烈なファンであるチェンドンはこの日、フリーレンの耳飾りを身に着けて式典に出席し、受賞スピーチの最後には金鐘奨のトロフィーのイラストをあしらったフリーレンの赤トランクスをポケットから取り出して披露。「今日は妻(フリーレン)を連れてきました。本当は履いてきたかったけれど履けなかったので、みんなに見てもらいたい」と話し、最後にはフリーレンにキスをしてみせた。

「不夠善良的我們」ミニドラマ助演男優賞を受賞したクー・チェンドン。アニメ「葬送のフリーレン」のキャラクター、フリーレンがあしらわれたトランクスを披露して会場を沸かせた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日
「不夠善良的我們」ミニドラマ助演男優賞を受賞したクー・チェンドン。アニメ「葬送のフリーレン」のキャラクター、フリーレンがあしらわれたトランクスを披露して会場を沸かせた=中央社記者鄭清元撮影、2024年10月19日

▽レッドカーペットにも豪華な顔ぶれ 

授賞式の前にはレッドカーペットが行われ、人気俳優が集結。詰めかけた多くのファンから歓声を浴びた。

マイク・ハー(賀軍翔)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
マイク・ハー(賀軍翔)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「商魂」でミニドラマ助演男優賞にノミネートされたレゴ・リー(李國毅)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「商魂」でミニドラマ助演男優賞にノミネートされたレゴ・リー(李國毅)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「此の時、この瞬間に」で連続ドラマ主演女優賞にノミネートされたパフ・クオ(郭雪芙)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「此の時、この瞬間に」で連続ドラマ主演女優賞にノミネートされたパフ・クオ(郭雪芙)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「一筆お祓いいたします」で連続ドラマ主演男優賞にノミネートされたツェン・ジンホア(曽敬驊)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日
「一筆お祓いいたします」で連続ドラマ主演男優賞にノミネートされたツェン・ジンホア(曽敬驊)=中央社記者張新偉撮影、2024年10月19日

(名切千絵)

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