(東京中央社)報道写真家として戒厳令解除(1987年)前後の台湾社会を記録してきた謝三泰さんの写真展「街頭劇場、火焼島/『流麻溝十五号』」が3日、東京・虎ノ門の台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで始まった。11月3日まで開催する。オープニングイベントで謝さんは、台湾の自由と民主主義は空から降ってきたものではなく、多くの台湾人が街頭に繰り出して勝ち取ったものだということを理解してほしいと語った。
謝さんは1958年生まれ。国民党政権が市民の思想や言論を弾圧した「白色テロ」や民主化を訴えるデモの参加者が警察と衝突した79年の美麗島事件など、台湾が自由を求め、権威主義体制に立ち向かった時代を経験した。87年には新聞社に入社し、街頭運動から制度改革に至るまでの台湾民主化の過程をカメラに収めてきた。写真展では写真60点と映像作品1点が展示されている。
李逸洋(りいつよう)駐日代表(大使に相当)は、謝さんは長年にわたり社会運動や弱者に関心を寄せ、台湾社会の変化を知る上で貴重な歴史的記録を残したと紹介。単なる芸術作品ではなく、台湾が民主主義に向けて歩んだことの重要な証しだと述べた。
謝さんは展示作品について、台湾の民主化発展の重要な節目が記録されており、台湾が民主主義や自由を追求した決意と意志が示されていると説明。東京での写真展開催に、日本の人々と報道写真家としての成果を分かち合いたいと語った。
中央社の取材に対し謝さんは、日本には台湾の友好的な友人として、台湾の民主化運動のプロセスや民主主義と自由は得難いものであり、中国の認知戦で容易に壊されてはならないことを分かってもらいたいと話した。