(ベルリン中央社)与党・民進党の沈伯洋(しんはくよう)立法委員(国会議員)は12日、ドイツ連邦議会の人権・人道支援委員会で開かれた民主主義と人権に脅威を与える独裁国家からの偽情報を議題にした公聴会に出席し、台湾の経験を紹介した。
公聴会後に取材に応じた沈氏は、公聴会は複数の主要政党が共同で世界各国の専門家を招き、独裁国家が偽情報を通じていかに民主主義体制を揺るがすかを議論したと説明。ハンガリーやロシアによる欧州での偽情報拡散事例や中国が台湾や欧州に及ぼす影響の他、インターネット上での世論操作、実際の浸透工作など多岐にわたる議題が取り上げられ、当初の予定を超える多くの質問が寄せられたと述べた。
沈氏は、欧州社会は偽情報や認知戦に対して強い警戒を維持しており、中国やロシアからの脅威を特に注視しているが、台湾の一部の人々はこれを問題視していないと指摘。中国は早くから世論戦を戦略として明確に位置付けており、兵を動かす前には世論誘導を図るとの考え方が中国の教科書にはっきりと書かれていると危機感を示した。
中国の重慶市公安局は先月、「国家を分裂させる犯罪活動」に従事したとして沈氏の立件を決めた。今回のドイツ訪問について沈氏は、総統府直轄機関の国家安全会議や外交部(外務省)と連絡を保っていると強調。出国自粛を勧める声もあったというが、台湾は中国の脅威を恐れてはいけないとし、「世界の民主主義と自由の陣営が共にあってこそ、独裁国家による侵害に対抗できる」と述べた。
またドイツ入国時に異常はなく、特別な警護も要請しなかったとした。